美祢線利用促進協議会が復旧検討部会を設置、鉄道含め今後の輸送手段探る【山陽小野田】

AI要約

JR美祢線利用促進協議会の臨時総会が開かれ、同線の復旧検討部会の設置が決定された。

沿線3市とJR西日本から構成される部会は、公共交通の在り方を協議し、輸送手段のメリットやデメリットを調査する。

篠田会長は鉄道での再開を前提とし、JR西日本支社長は利便性向上の投資の優先順位を示唆した。

美祢線利用促進協議会が復旧検討部会を設置、鉄道含め今後の輸送手段探る【山陽小野田】

 JR美祢線利用促進協議会(会長・篠田洋司美祢市長)の臨時総会は30日、山陽小野田市文化会館「不二輸送機ホール」で委員16人が出席して開かれた。一年以上運休が続く同線の今後について、JR西日本から要請があった地域の持続可能な公共交通の在り方を協議する復旧検討部会の設置を決めた。

 5月29日に開かれた総会で、JRが同線について「復旧と再開後の運営については単独では困難」と言及。併せて鉄道だけを前提としないこの地域の公共交通の在り方、役割について検討する部会を協議会内に設置することを提案していた。

 沿線3市は提案を持ち帰り、対応を協議して臨んだ。藤田剛二山陽小野田市長は「代行バスの運行で利用者が不便を強いられている中で、議論を進めるためにも設置に賛成」、江原達也長門市長、小野浩誠県観光スポーツ文化部審議監も「復旧の見込みが立っておらず前に進めるためにはやむなし」と設置を受け入れ、採決では全会一致で部会の設置を承認した。

 復旧検討部会は3市、県、JRの代表で構成。必要に応じて学識経験者、国土交通省、バス協会、経済団体、自治体のまちづくり所管部署を招聘(しょうへい)する。鉄道による復旧の整理・検討、鉄道以外の輸送手段による復旧の整理・検討の2点について協議。利便性やコスト(復旧費、運行費)、災害耐性などの観点から複数の輸送手段別のメリット、デメリットを調査する。

 そのためのニーズ調査として、代行バスの運行本数を増便。厚狭駅での山陽新幹線とのアクセス向上、美祢線の新駅設置を視野に入れたバス停留所の拡充、快速便の導入に取り組む。沿線住民への鉄道、バス両面からの利用ニーズ実態調査も行う。部会の開催、バスの増便といったスケジュールは今後、調整する。部会は輸送手段を最終決定する役割ではないことも確認した。

 臨時総会後に取材に応じた篠田会長は改めて鉄道での再開が大前提とし「私鉄と違い、JRには重要な公共交通を守る使命がある。今の住民、将来の住民にとってどうあるべきかを真摯(しんし)に検討したい」とした。

 JR西日本広島支社の広岡研二支社長は「全国的な人口減の中で移動総数の確保が求められる。利便性向上のための投資には優先順位がある。美祢線は被災前から利用者が少ない状況にあり、鉄道がベストかどうかを部会で比較したい」と述べた。