日米豪印、海洋秩序維持で一致 中国念頭「軍事化に重大懸念」サイバー攻撃などで共同対処

AI要約

日本、米国、オーストラリア、インドという4カ国の枠組み「クアッド」が海洋秩序の強化を目指し、中国の海洋進出に懸念を表明した。

会合ではサイバー攻撃への対策強化や偽情報への対処方針を示し、女性参画の重要性も確認された。

クアッドが協力し、南シナ海やインド太平洋地域への支援を強化する方針を打ち出した。

日米豪印、海洋秩序維持で一致 中国念頭「軍事化に重大懸念」サイバー攻撃などで共同対処

日本、米国、オーストラリア、インド4カ国の協力枠組み「クアッド」は29日、外相会合を東京都内で開き、海洋秩序の維持・強化へ協力していく方針で一致した。会合後に発表した共同声明では、中国の海洋進出を念頭に、東・南シナ海情勢への深刻な懸念を表明し「係争地形の軍事化や、南シナ海での威圧的、脅迫的な操船に重大な懸念を表明し続ける」と明記した。サイバー攻撃対策の強化や偽情報に共同で対処する方針も示した。

会合には上川陽子外相、米国のブリンケン国務長官、オーストラリアのウォン外相、インドのジャイシャンカル外相が出席した。上川氏は会合後の共同記者発表で、ロシアのウクライナ侵略や北朝鮮の弾道ミサイル開発にも触れ「国際秩序を巡る不確実性が増大している。日米豪印で海洋状況把握から法執行に至るまで、包括的な協力を進める」と語った。

声明では「自由で開かれたインド太平洋」を目指すと強調。南シナ海における中国によるフィリピン船への度重なる妨害を受けて「力や威圧により現状変更を試みる一方的な行動に強く反対する」と訴えた。海洋状況把握の取り組みを強化し、国際海洋法の専門知識を共有する協議体「海洋法対話」の設置を表明した。

サイバー攻撃対策を巡っては、代表者会合の創設や国際会議の開催を確認した。偽情報を含む外国による情報操作や干渉に対処するとした。紛争解決や平和構築に女性が参画する「女性・平和・安全保障(WPS)」の重要性も共同声明に初めて盛り込んだ。

ブリンケン氏は会合で「クアッドが協力すれば結果を出せることを示す必要がある」と語り、インド太平洋地域への支援に取り組む重要性を説いた。外相会合は、昨年9月に米ニューヨークで実施して以来。日本開催は前回が2020年10月で、約4年ぶり。

上川氏は29日、ウォン、ジャイシャンカル両氏ともそれぞれ個別に会談した。