相模原殺傷事件、26日で8年 住民反対で地域生活断念も

AI要約

神奈川県は相模原市で起きた知的障害者施設殺傷事件を契機に、生活の場の地域移行を進めているものの、障害者向け施設の開設に際して地域住民の反対が相次いでおり、開設が難航している事例が多い。

過去10年で全国で95件ものケースで、GHなどの施設の建設・運営開始にあたり、住民の反対があったことが報告されており、約3分の1が開設できない状況にある。

障害者差別解消法によっても、「周辺住民の同意を求めないこと」が定められているが、実際には遵守されず、地域住民の反対がGH開設に影響を与えている。

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件から26日で8年となる。事件を受けて神奈川県は「ともに生きる社会の実現」を掲げ、障害者が施設で生涯を過ごす福祉政策からの転換を重視し、生活の場の地域移行を推進する。しかし、実際にはグループホーム(GH)を開設しようとして住民の反対に遭い、断念せざるを得ないケースが目立つ。

 「全員が賛成しない限り、やらせない」。23年10月、横浜市金沢区に開設予定の障害者向けGHの説明会で、住民から反対発言が相次いだ。運営会社は23年度中の開設を目指していたが、今も開設できていない。

 障害者差別解消法には、国や自治体が施設を認可する際、「周辺住民の同意を求めないことを徹底する」との国会の付帯決議がある。

 しかし、知的障害者の親らでつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」が20年に実施した調査では、過去10年で会員が関わるGHなどの施設の建設・運営開始にあたり、住民の反対があったケースは全国で95件。うち約3分の1が開設できなかった。