電動自転車と電動キックボードの事故が全米で急増、普及拡大で

AI要約

eバイク(電動スポーツ自転車)とeスクーター(電動キックボード)の事故による負傷や入院の件数が急増していることが明らかになった。主な要因は小型eモビリティの急拡大と大気汚染対策の一環。

最新の研究結果によると、eバイクおよびeスクーターの負傷者数が増加しており、内臓損傷や腕などの部位に応じた負傷リスクが異なることが明らかになった。

さらに、eモビリティの利用者は従来の自転車やキックボードの利用者よりも年齢が高く、危険な行動をとりがちという傾向が見られる。安全対策の強化や構造改革が急務とされている。

電動自転車と電動キックボードの事故が全米で急増、普及拡大で

eバイク(電動スポーツ自転車)とeスクーター(電動キックボード)の事故による負傷や入院の件数が近年全米で急増していることが、23日に発表された最新の研究結果から明らかになった。自動車の利用を減らして大気汚染を改善する取り組みが広がる中で、こうした小型eモビリティの販売が急拡大していることが背景にある。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームが米国医師会(AMA)発行のオープンアクセス医学誌JAMA Network Openに発表した査読済み論文によると、eバイク乗車中の負傷者数は2017年には751人だったが、以降は毎年倍増し、2022年には2万3493人を数えた。

また、eスクーター使用中の負傷者数は同時期に45%増加し、2017年の8566人から2022年には5万6847人へと跳ね上がった。

この研究は米国内での小型eモビリティ使用時の最近の負傷パターンに関する初めての調査結果であり、米国消費者製品安全委員会(CPSC)が全米を対象に収集した救急医療データを分析したものだ。データには、負傷者の年齢、負傷の種類、ヘルメット着用の有無、飲酒の有無などの要素が含まれている。

研究チームによると、eスクーター使用時の負傷では従来型のキックボードと比べて、内臓に損傷を負う確率が高かった。一方、従来型キックボードでは腕、手首、手といった上肢のけがが多い。脳・神経系、頭部、骨・関節・筋肉への損傷リスクについては、両者に有意な差はみられなかった。

eモビリティを使用中に負傷した人は、従来型の自転車やキックボードの負傷者より年齢が高い傾向も判明した。負傷者の年齢中央値は、eバイクが39歳、eスクーターが30歳だったのに対し、従来型の自転車とキックボードはそれぞれ30歳と11歳だった。

また、eモビリティの負傷者は、アルコール影響下やヘルメットなしでの乗車など、より危険な行動をとりがちだった。論文の共同筆頭著者でUCSF泌尿器科チーフレジデントのエイドリアン・フェルナンデスは、「安全対策の追加」と「安全な乗車を促進するための(中略)構造改革」が急務だと述べている。