避難所に行く前に住まい守るための“準備”を 早めの判断で建物被害を最小限に 秋田・記録的大雨から1年

AI要約

2023年夏の記録的大雨から1年が経過し、水害への備えを再考する必要がある。

避難指示が発令された時は、早めの判断と行動が重要であり、自宅を守るための防災グッズの準備も大切だ。

家を守るための防災グッズとして防水シート、吸水する土のう袋、ブルーシートなどが効果的である。

避難所に行く前に住まい守るための“準備”を 早めの判断で建物被害を最小限に 秋田・記録的大雨から1年

秋田県内に大きな被害を与えた2023年夏の記録的大雨から1年。改めて水害への備えを考える。河川の氾濫や土砂災害の危険性が高いときは「避難すること」が重要だが、“早い判断”をすることで命はもちろん、生活の拠点を守れる可能性が高まる。

2023年7月の記録的な大雨で、秋田県内では7375棟の住宅に浸水などの被害が出た。

2024年7月9日には、秋田市や県の南部を中心に大雨に見舞われ、一時4つの市に避難指示が出された。

自然災害が発生したとき、市町村などが発信する避難情報(大雨警戒レベル)があるが、どのタイミングで避難するのが良いのだろうか。

アウトドアを取り入れた防災活動の普及に取り組んでいる日本赤十字秋田短期大学の講師・及川真一さんは「多くの人は、1・2・3・4・5とレベルが下から上がってくるようなイメージを持っているが、状況によっては例えば1から3、3から5というふうに変わってくる。3の時はもう雨がすごく降っていたり、道路状況が非常に悪かったりするので、できれば2と3の間で準備をして行動に移してほしい。『判断』と『行動』は分けて考えてほしい」と話す。

及川さんが訴えるのは、大雨に見舞われたときの“早めの判断”と行動だ。「避難指示」が出された時には、すでに災害が起きている可能性があるからだ。

全国ではこれまで、避難所に行くまでの間や逃げた先で被害に遭った人がいた。浸水や土砂災害など、いま自分がいる場所のリスクを把握し、避難場所や経路、タイミングなど「避難の仕方」を考えておかなければならない。

一方で、「自宅が心配」と災害時に避難をためらう人がいるのも現実だ。「早めの判断」をすれば、避難する前に家を守る準備をすることができる。

及川さんが「家を守るための防災グッズ」を教えてくれた。それが「撥水(はっすい)に優れたシート」「吸水する土のう袋」「ブルーシート」だ。これらを使うと、家の浸水を防ぐことができるという。

ドアや窓から水が入り込みにくくする「防水シート」は、設置したい部分より少し大きめのものを用意し、防水テープで隙間がないように貼り付ける。

試しに扉にシートを貼り、水をかけて内側を見てみると、水は全然出てきていなかった。水圧がかかることでシートが建物に張り付き、浸水を防いでいた。

及川さんは「水はほとんど内側に入ってきていなかった。なので、避難所に行く前に自宅の窓や扉にこうしたシートを貼ってから行くことも大切になってくると思う」と話す。

そしてもう1つ、水を吸って膨らむタイプの土のう袋を用意し、あわせて実験を行った。

軽くて、ほとんど何も入っていないように感じる土のう袋を水が入ったバケツにつけると、5分ほどで膨らんだ。袋の中には吸水ポリマーが入っていて、膨らんだ土のう袋の重さは17kgになった。これくらいの重さがないと流されてしまうという。

及川さんは「土のう袋は、実際に自分で準備するとなると、土を用意して縛って運んでと非常に大変。吸水して膨らむタイプだと手軽に用意できると思う」と話す。

防水シートと土のう袋、さらにブルーシートも組み合わせると、より効果が高まる。薄いシートでは水が入り込む可能性があるため、なるべく厚手のものを選ぶのが良いという。

紹介してもらった家を守るための防災グッズは、コンパクトに収納できるものばかりで備えやすい。

及川さんは「避難所に行く前に、こうしたものを準備して避難することがおすすめ。避難した先で不安に思うことはあると思うので、手軽に準備でき、いずれもホームセンターなどで売っているので、ぜひ確認してもらいたい」と訴える。

自宅の被害が大きくなればなるほど、日常を取り戻すまでに時間がかかってしまう。「絶対安全」はないが、不安を少しでも減らせるよう備えを考えてみてはいかがだろうか。

(秋田テレビ)