広島平和式典にイスラエル招待、「二重基準」の批判も ロシアとベラルーシは招かず

AI要約

広島市が、イスラエルを平和記念式典への招待から除外しない方針を表明し、市民団体や被爆者団体の反対を受けて論議が巻き起こっている。

ロシアとベラルーシがウクライナ侵攻を理由に過去2年招待されていない状況を考慮し、イスラエルも同様に式典から除外すべきだとの意見がある。

一方、イスラエルのガザ地区への攻撃を受けて世界の抗議が高まっており、広島市ではイスラエルの出席に反対する声もある。

広島平和式典にイスラエル招待、「二重基準」の批判も ロシアとベラルーシは招かず

東京(CNN) 米軍が1945年に原爆を投下した広島で8月6日に行われる平和記念式典をめぐり、市民団体や被爆者団体などがイスラエルの招待を見送るよう求めたのに対し、広島市が応じなかったことから論議の的になっている。

被爆者団体などは、パレスチナ自治区ガザ地区に対する攻撃を理由にイスラエルを招待すべきではないと指摘。ロシアとベラルーシはロシアのウクライナ侵攻を理由に過去2年の式典には招待されておらず、今年はイスラエルも式典から除外すべきだと市に申し入れていた。

これに対して広島市は、イスラエルを除外するつもりはないと言明した。市の広報はCNNの取材に対し、これはダブルスタンダード(二重基準)ではないと強調。全ての国を招待するのが市の方針だが、ロシアとベラルーシはウクライナ侵攻を理由に例外としたと述べ、ロシアとベラルーシは式典の円滑な挙行のために招待しないと説明した。

長崎市はCNNの取材に対し、8月9日の式典にイスラエルを招待するかどうかはまだ決めていないと話している。

イスラエルのガザ地区に対する戦争は、式典の円滑な挙行の妨げになる可能性があると同市は述べ、これは抗議の姿勢ではなく、現実面の配慮だと強調している。

広島市の今年の平和記念式典には最多の115カ国と欧州連合(EU)代表が出席を予定している。

一方、ロシアとベラルーシの代表は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受けて広島市が招待を見送って以来、出席していない。

ガザ地区ではイスラエルの攻撃によって数万人が命を落とし、200万人あまりのほぼ全人口が避難を強いられて、食料や避難所、水、医療物資が不足する窮状に追い込まれている。

イスラエル招待に反対している広島県原爆被害者団体協議会の熊田哲治事務局長は、もしイスラエルがロシアやベラルーシのようにジェノサイド(集団殺害)のような罪を犯しているとすれば、なぜ招待するのかと問いかけ、同団体の申し入れが考慮されなかったのは非常に残念だと訴えた。同団体は6月に広島市に対し、イスラエルを招待しないよう書面で申し入れていた。

「広島パレスチナともしび連帯共同体」は5月、イスラエル代表を招待しないよう広島市に要請するオンライン署名活動を開始。現在のイスラエルに対する世界の抗議運動は、規模も頻度も明らかにロシアに対する抗議運動を上回ると訴えた。これまでに寄せられた署名は3万を超えている。

イスラエルはガザ攻撃について、パレスチナ人ではなくイスラム組織ハマスに対する戦争だと強調しているが、破壊の惨状や民間人の死亡をめぐる憤りは世界的に強まっている。

しかしイスラエルの出席を支持する声もある。広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長は、広島は国際平和都市として、戦争をしていようがいまいが全ての国を招待する必要があると訴えた。

一方、駐日パレスチナ常駐総代表部は、同代表部が広島の式典に招かれていないことについて「ダブルスタンダード」だとXへの投稿で訴えた。

広島市は、日本に大使館のある国にのみ招待状を送っていると述べ、パレスチナ代表を式典に招いたことはないと話している。