京アニ社長、次の5年での新作に意欲 「遺してくれた志を胸に」

AI要約

京都アニメーションの放火殺人事件から5年が経ち、追悼式が行われた。遺族やスタッフら140人が亡くなった36人を偲び、作品制作を誓った。

事件を振り返り、八田社長は会社の未来に不安を抱えつつ、亡くなったスタッフの思いや技術を受け継いだ作品制作に意義を見出し、将来の作品制作に意欲を示した。

事件は2019年に発生し、犯人は死刑が言い渡されたが、作品制作は亡くなったスタッフの志を胸に継続されることが明らかとなった。

京アニ社長、次の5年での新作に意欲 「遺してくれた志を胸に」

 36人が亡くなり、32人が重軽傷を負った京都アニメーション(本社・京都府宇治市)の放火殺人事件は18日で5年となり、現場の第1スタジオ跡地(京都市伏見区)では追悼式があった。遺族やスタッフら約140人が亡き人のために祈り、作品をつくり続けることを誓った。

 事件が起きたとされる午前10時半ごろから追悼式は始まった。黙禱(もくとう)や献花があり、スタッフや遺族が弔辞を述べた。

 八田英明社長は参列者を前に、「仲間を亡くしたその時の無念さ、憤りは相当なものでした。経営的には、会社を継続できるのか、相当な不安、懸念がありました」と5年前を振り返った。

 事件後、人気シリーズ「響け!ユーフォニアム」の続編が劇場公開やテレビ放送されたことに触れ、亡くなった36人の「思いや技術を引き継いで、見事につくり上げてくれました」。そのうえで「みんなが遺(のこ)してくれた志を胸に、作品をつくり続けます」と誓った。

 八田社長は追悼式後、報道陣の取材に、「(事件後の作品は)亡くなった人たちと共に基礎的なキャラクターデザインやシナリオ、構成をつくったもので、この5年でほぼつくり終えた。これからの5年間、10年間は新しい作品を手がけていきたい」と語った。

 事件は2019年7月18日に発生。社員ら70人がいた第1スタジオに、ガソリンをまかれて放火された。

 青葉真司被告(46)が20年5月に殺人や現住建造物等放火などの疑いで逮捕され、その後起訴された。京都地裁は今年1月、「人命の尊さを全く顧みず、罪責は極めて重い」などとして、青葉被告に死刑の判決を言い渡した。青葉被告は控訴している。(関ゆみん、木子慎太郎)