【バイデン陣営による暗殺未遂事件?】銃撃されたトランプ、大統領選への影響

AI要約

7月13日、トランプ前大統領が暗殺未遂事件に遭遇。トランプ陣営はこの事件を利用し、強いリーダーのイメージを演出。さらに、陰謀論が広まり、選挙戦に影響を及ぼす可能性がある。

トランプ暗殺未遂事件をきっかけに、トランプ支持者やバイデン陣営間での攻防が激化。暗殺を最終手段と考える陰謀論も広がっている。

今後、ネット空間でさまざまな陰謀論が広がり、選挙戦に影響を及ぼす可能性がある。

【バイデン陣営による暗殺未遂事件?】銃撃されたトランプ、大統領選への影響

 7月13日(現地時間)、耳目を驚かすニュースが世界を駆け巡った。東部ペンシルベニア州での集会で、ドナルド・トランプ前大統領が襲撃されたのだ。幸い怪我の程度は、命に別状はなかったものの、右耳を負傷するに止まった。

 このトランプ暗殺未遂事件は、今後の米大統領選挙にどのような影響を及ぼすのだろうか。

 トランプ陣営が暗殺未遂事件を利用することが間違いないのは、これまでのトランプ前大統領のやり方に照らしてみれば分かる。

 すでに、トランプ前大統領の次男エリック氏が自身のXに、顔の右側と右耳に血がついたトランプ氏が、こぶしを突き上げている写真をアップした。そして、「アメリカが必要としている戦士だ」と訴えた。

 共和党副大統領候補に名前が挙がっているマルコ・ルビオ上院議員(南部フロリダ州)は早速、エリック氏がXに掲載した写真を自分のXにリポストした。

 6月27日に実施された1回目のテレビ討論会で、風邪をひき、かすれた声でボソボソ話す「弱いリーダー」のイメージを視聴者にさらしてしまったバイデン大統領とは、対照的な印象を与える写真であることは間違いない。

 さらに、襲撃直後に、シークレットサービスに囲まれながら、移動する際に、参加者に呼び掛けた力強い肉声と、発言の内容も「強いリーダー」として参加者やメディアによって広められた。

 加えて、トランプ陣営は例のトランプ前大統領が血を流しながら、こぶしを突き出している写真を印刷したTシャツやマグカップなどを販売し、政治資金にするだろう。南部ジョージア州の拘置所に出頭し、撮影された顔写真(マグショット)をみても分かるように、その手の戦略には前例がある。

 同じく共和党副大統領候補と見られているJ.D.バンス上院議員(中西部オハイオ州)は自身のXで、「バイデン陣営には権威主義的な独裁者であるトランプ前大統領をどうしても止めなければならないという前提がある」と指摘した上で、それがトランプ前大統領暗殺の試みを導いたと述べた。

 バンス上院議員は、バイデン陣営がトランプ前大統領の暗殺の誘因となったと言いたそうだ。バイデン陣営は、トランプ前大統領が民主主義の脅威であると繰り返し訴えてきた。バイデン支持者の中には、集会で「ストップ・トランプ(トランプを止めろ)」という看板を掲げている者がいる。トランプという言葉には、「民主主義の破壊者」などが含まれている。

 また、テレビ討論会でトランプ前大統領に敗れ、しかもバイデン大統領の認知機能低下が連日報道され、バイデン撤退論が日増しに強まる中、バイデン陣営は、唯一残された手段は、暗殺であると考えて実行に移したという陰謀論が流布することが充分あり得る。

 これまで、トランプ前大統領は「バイデンは大統領選挙で勝てないので私を起訴した」と訴え、「トランプ裁判はバイデン大統領が仕組んだ」と主張してきた。となると、トランプ前大統領のストーリーを信じるトランプ支持者は、バイデン大統領が仕組んだ「起訴」が、「暗殺」に変わったと考えても不思議ではない。

 上記の陰謀論を信じるトランプ支持者は、バイデン陣営が暗殺という最終手段に打って出たと信じるかもしれない。今後、ネット空間において、トランプ暗殺未遂に関する多種多様な陰謀論が展開され、選挙戦に多かれ少なかれ影響を及ぼすかもしれない。