海外旅行サイトのトラブル多発…「ホテルが実在しない」「キャンセル料戻らない」相談4000件超

AI要約

コロナ禍の収束で海外旅行者が急増し、宿泊施設や航空機の予約サイトを巡るトラブルが多発している。

消費者庁は予約の確定前に契約内容の徹底確認を呼びかけており、相談件数は2年連続で4000件を超えている。

トラブルの例として、海外企業が運営するサイトで予約した宿が実在しなかったり、二重に支払いを求められたりするケースが増加している。

 コロナ禍の収束で海外旅行者が急増する中、宿泊施設や航空機の予約サイトを巡るトラブルが多発している。「キャンセルしても返金されない」「ホテルが実在しない」などの相談が全国の消費生活センターに寄せられ、相談件数は2年連続で4000件を超えた。記載事項を見逃して申し込んだ場合は損害の回復が難しく、消費者庁は「予約の確定前に、契約内容の徹底確認を」と呼びかけている。(糸井裕哉)

 「予約したはずの宿が見当たらず、連絡も無視されて焦るばかりでした」。神奈川県平塚市のウェブライター藤沢篤さん(36)は2022年秋、東欧への旅行中にトラブルに見舞われた。

 海外企業が運営するサイトで宿泊先を予約し、事前に入金もしていたが、アルメニアのホテルに到着すると、「予約など知らない。そのサイトとは提携していない」と言われて二重に宿泊費を支払わされた。

 さらにトラブルは続いた。ジョージアとトルコでは記載された住所に宿泊先がなく、サイトにメッセージを送っても応答はなかった。藤沢さんは「安さで選んだが、複数のサイトを見比べ、過去の評価を確認すべきだった」と振り返る。

 国民生活センターによると、旅行のネット予約を巡る相談件数は、コロナ禍中の21年度は2309件だったが、22年度に4499件へ倍増。23年度も4382件と高止まりし、コロナ禍前の水準に戻った。

 多くは返金を巡るトラブルで、予約直後でもキャンセルができなかったり、入金後にサイト側と連絡が取れなくなったりした事例が増えている。今年4月に相談した関東地方の20歳代女性は「キャンセル料無料」と記載されたサイトで予約したにもかかわらず、実際にキャンセルすると、航空券代の約8万円が戻って来なかったという。

 特に目立つのは、海外企業が運営するサイトでのトラブルだ。予約後の対応が英語に限られ、メールやチャットによる回答も定型文が繰り返されるといった相談が相次ぐ。また、海外に拠点を置く企業は旅行業法の対象外となるため、取引条件の説明義務や書面の交付義務といった国内のサイトに課される消費者保護の規定も適用されない。