兵庫県副知事、5回にわたり知事に辞職を進言…知事は「任期を全うしたい」と否定

AI要約

兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題を巡り、辞職の意向を表明した副知事は斎藤知事にも辞職を進言したが応じなかったことを明かした。

片山安孝副知事は斎藤知事に辞職を進言したが受け入れられず、知事自身は「県民の負託を受けた身なので、任期を全うしたい」との意向を示している。

疑惑を巡る混乱や不信感が続く中、片山副知事は自身の疑惑を否定しつつ、知事の代わりに辞めるのではなく、自ら責任を取って辞職すると強調した。

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題を巡り、辞職の意向を表明した片山安孝副知事(64)は12日午前の記者会見で、斎藤知事にも繰り返し辞職を進言したが、斎藤知事は応じなかったことを明かした。一方で、自身に関する疑惑については否定した。

 「知事も一緒に退職する考えはないかと申し上げたが、知事は『自分は県民の負託を受けた身なので、任期を全うしたい』との答えだった」

 片山氏は同日午前11時から県庁内で開いた会見で、こう説明した。

 片山氏は6月以降、斎藤知事に5回にわたり、出直し選挙か辞職を進言したが、いずれも聞き入れられなかったという。「政治家の出処進退は本人が決められることだ。私は知事の代わりに辞めるのではなく、副知事として責任を取って辞める」と強調した。

 斎藤知事には11日に県庁内で面会して辞職の意向を伝え、知事からは「3年間、お世話になりました」と声をかけられたという。会見では、片山氏が「知事を支えられなかった」と涙ぐむ場面もあった。

 問題を巡っては、前県西播磨県民局長の男性職員(60)が3月に一部の県議らに配布した文書で、部下へのパワハラなど、斎藤知事に関する7項目の疑惑を指摘。県は5月、疑惑を否定する内部調査の結果を公表したが、不信感を募らせた県議会が真相究明のため、6月に百条委員会を51年ぶりに設置する事態となった。

 片山氏は設置直前、県議会の最大会派である自民党の県議に、自身が辞職する代わりに百条委の設置議案の提出を見送るよう求めたが拒否され、議会から「不当介入だ」と批判を浴びた。

 男性職員が指摘した7項目の疑惑のうち、片山氏自身も、県の補助金カットをほのめかして商工会議所などに知事の政治資金パーティー券を大量購入させたなど3項目に関わっているとされている。

 片山氏は自身の疑惑について「パーティー券を圧力をかけて購入させた事実はない」などと否定。辞職後も県議会の百条委から出頭要請があれば、出席する考えを示した。

 県幹部の1人は「問題で県のイメージは悪化し、企業や関係団体からの苦情も相次いでいる。副知事の決断は重い意味をもつ」と話した。百条委の委員を務めるある県議は「内部告発を行った守られるべき男性職員が亡くなり、県政に混乱が生じている。副知事に責任を押し付けるのではなく、トップである知事が辞職して責任を取るべきだ」と指摘した。