「見て見ぬふり、なあなあの文化」 不祥事相次ぐ海自、トップが言及

AI要約

海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長が不祥事を受けて引責辞任し、組織文化の問題に言及した。

海自では特定秘密保護法違反が常態化しており、酒井氏も減給処分を受けた。

酒井氏は運用改善策を提示し、隊員の適性評価や組織文化の見直しを強調した。

「見て見ぬふり、なあなあの文化」 不祥事相次ぐ海自、トップが言及

 特定秘密の漏洩(ろうえい)や手当の不正受給など相次ぐ不祥事を受け、海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長の19日付での引責辞任が決まった。12日の会見で酒井氏は、「不正を見て見ぬふり、なあなあという態勢が一部残っていたのでは」と海自の組織文化について言及した。

 海自では、特定秘密保護法の違法運用が艦艇で広く常態化していることが防衛省の調査でわかり、12日に大量処分が発表され、酒井氏も減給処分を受けた。

 酒井氏は「隊員の教育や部隊の組織管理を負っているにもかかわらず、それを果たし得なかった責任を問われるのは当然」と辞任の理由を語り、「秘密を扱える人は必要最小限にとどめる」という法の趣旨に従って運用をしたことが、狭い艦艇内に秘密を扱える隊員と扱えない隊員とが混在する「ひずみ」が生じたとの見方を示した。

 そのうえで、今後は特定秘密がある戦闘指揮所などに立ち入る隊員は全員、適性評価を必須とする考えを示した。

 潜水手当や喫食の不正受給など不祥事が相次いでいる原因については、海自の「組織文化」を挙げた。「不正に気づいても、見て見ぬふり、なあなあの態勢が一部が残っているのではないか。組織として、不正は見逃さない態勢に見直していく必要がある」と語った。(矢島大輔)