神戸市役所が進める 広報PR業務の「インハウス化」がもたらすもの

AI要約

神戸市役所が広報PR業務のインハウス化を推進し、専門人材を活用している。具体的にはデザイナーや動画クリエイター、コピーライターなどを雇用し、専門部署を設置している。

専門人材の活用により、作業の迅速化やコスト削減が実現しており、映像制作なども外部委託せずに内製化している。

神戸市が活用する専門人材は一部がパートタイム公務員として雇用されており、外部からの専門協力を受ける自治体とは一線を画す取り組みを行っている。

神戸市役所が進める 広報PR業務の「インハウス化」がもたらすもの

国や自治体では、映像やウェブサイト、ポスターなどを制作するとき、専門の事業者や広告代理店に発注するのが通例だ。なぜなら、デザイナーや映像クリエイターといった専門技術を持った人材を自前で雇っていないからだ。

ところが民間企業の一部では「インハウスデザイナー」として、フリーランスやデザイン事務所で活躍していた専門家たちを直接雇用しているケースも多い。さらにはデザイン担当の専門部署を置いて、社内横断的にクリエイティブ制作を任せている事例もある。こうすることで、作業の迅速化やノウハウの蓄積といった面で多大な効果があると言われている。

そんななか神戸市役所では、デザイナーだけでなく、動画クリエイターやコピーライターなどまで、計8名を採用して、広報PR業務のインハウス化を推進している。

今回、そのように至った背景と、実際にどのような効果が生まれているのかを深掘りしてみたい。

■広報分野での専門人材活用でコストも削減

神戸市役所の広報PRを統括する広報戦略部には、現在約50名の職員が在籍している。そのうち8名が、週1日から3日勤務のパートタイム公務員で、神戸市で働くまでは、デザインや映像、ライターといった専門分野で仕事をしてきた。いまも市役所で勤務していない日は、フリーランスや大学教員として別の仕事もしている。

他の自治体でも、アドバイザー的な役割では、外部からの専門人材の活用例はある。しかし神戸市のように、動画制作やポスターデザイン、キャッチコピーの制作といった現場作業まで担うケースはとてもめずらしい。

神戸市が広報分野での専門人材の活用を始めたのは、2020年9月に遡る。この時点で写真や動画の撮影、SNS投稿を制作する副業人材40名を登用した。コロナ禍の最中でもあったので、市役所に出勤するのでなく、オンラインで働くという仕組みだった。

このときの神戸市の狙いはコスト削減だ。年間で600万円ほどの予算を投入しているが、仮に大手の代理店やデザイン事務所に同じ業務を発注すると約2000万円かかると神戸市では試算している。

その後、2022年4月には広報戦略部のなかに「広報クリエイティブユニット」と呼ばれる専門部署を置いて、その40名とは別に、普通の職員と机を並べて仕事をする8人の専門家を採用した。

これらの取り組みなかで大きく変わったのは映像の制作だ。それまでは外注するしか選択肢はなかったが、企画から編集までできる映像クリエイター、文字やイラストに動きを加えるモーショングラフィックの技術者、動画配信サービスの元取締役の3名の在籍で、駅にある大型ディスプレイやYouTube用のPR動画のほとんどを自作できるようになった。

昨年3月、読売テレビで急きょ放送することになった「神戸登山プロジェクト」のCM映像も、わずか1週間で完成させたほどだ。