「立共共闘」岐路に 都知事選、200万票目指すも惨敗 無党派層取り込めず

AI要約

立憲民主党にとって、東京都知事選で支援した蓮舫氏の大敗は手痛い失点だった。想定以上の結果に衝撃が広がり、共産党との連携を見直す声も出ている。

立民は勝利を逃したものの、「200万票」を目指して蓮舫氏を支援し、自民党に揺さぶりをかける狙いがあった。しかし、得票は予想を下回り、共産党との野党共闘の効果は疑問視されている。

無党派層の動向や投票傾向も分析されており、今後の野党共闘を巡る議論が活発化する可能性がある。共産党は今回の戦いから教訓を導く考えを示している。

「立共共闘」岐路に 都知事選、200万票目指すも惨敗 無党派層取り込めず

立憲民主党にとって、東京都知事選で支援した前参院議員の蓮舫氏の大敗は極めて手痛い失点といえる。蓮舫氏が落選すること自体は織り込み済みだったが、立民は圧倒的知名度を誇る現職の小池百合子氏に詰め寄れば、自民党に揺さぶりをかけることができると踏んだ。しかし、蓮舫氏の得票は3番目にとどまり、党内では想定外の結果への衝撃が広がる。無党派層の支持離れを招いたことを踏まえ、共産党との「共闘」の見直しを求める声が強まる可能性もある。

■「自民への打撃」幻に

「勝つとは思っていない。200万票を獲得できれば十分な追い風だ」

都知事選の投開票を目前に控えた3日、ある立民関係者は、選挙結果を巡ってこんな展望を披露した。

「2番じゃだめなんですか」という有名な蓮舫氏の言葉ではないが、立民が想定していたのは当選ではなく「2番」だった。ただし、勝利を逃したとしても、立民、共産、社民各党が支援した蓮舫氏が「200万票」という結果をたたき出せば、小池氏を支援した自民に与えるショックは大きいと読んでいた。

ところが、ふたを開けてみれば蓮舫氏の得票は128万3262票で、政党から支援などを受けなかった前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(165万8363票)をも下回った。

令和4年の参院選東京選挙区(改選数6)では、蓮舫氏を含む立民、共産、社民3党の候補4人が計約178万7000票を獲得している。参院選の改選複数区と首長選を単純に比較することはできないとはいえ、今回の都知事選の結果は野党共闘が奏功したものとは言いがたい。

■共産幹部「教訓導く」

背景の一つとして考えられるのが無党派層の動向だ。共同通信社が実施した出口調査によると、無党派層の投票先は、石丸氏が37%、小池氏が30%だったのに対し、蓮舫氏はわずか16%だった。

立民閣僚経験者は「共産と組んだことで無党派層を遠ざけたのだろう」と推測し、泉健太代表の任期満了(9月末)に伴う次期代表選では共産との距離感が争点の一つになるとみる。ただ、別の幹部は「首長選は党派で勝敗が決まるわけではない」と述べ、都知事選の結果と今後の野党共闘の方向性を結びつけることには慎重な姿勢を示した。

一方、共産の小池晃書記局長は8日の記者会見で、蓮舫氏の街頭演説会で感じた手応えなどに言及し「どうして得票に結びつかなかったのか。検討すべきポイントだ」と指摘した。立民との連携については「必要不可欠なことだった」との認識を示し、「今回の戦いからどういう教訓を導き出していくか。率直に腹を割って話をしていきたい」と語った。(松本学)