「タネも仕掛けもございます」82歳マジシャン、公演1000回達成 会社員時代から34年、途切れぬ依頼 長野県伊那市

AI要約

長野県伊那市の手品愛好家伊藤権司(82)さんが、市内外でのボランティア活動で手品を披露した公演数が1000回に達した。

伊藤さんは30年以上前にマジッククラブに入り、退職後も活動を続け、年間約50回の公演をこなしている。

10日の公演では、千円札が「壱億円札」に変わる手品や花が次々と出てくる技を披露し、会場の笑いを誘った。

「タネも仕掛けもございます」82歳マジシャン、公演1000回達成 会社員時代から34年、途切れぬ依頼 長野県伊那市

 長野県伊那市東春近の手品愛好家伊藤権司(けんじ)さん(82)が、市内外の福祉施設、学校などでボランティアで手品を披露してきた公演の回数が10日、1000回となった。この日は同市西春近の深妙(じんみょう)寺で、地区の社会福祉協議会主催の交流会「にじいろサロン」に出演。マジックが成功するたび、集まった住民らから驚きの声と大きな拍手が上がった。

 伊藤さんが手品を始めたのは、知人に誘われて1990年春に伊那公民館のマジッククラブに入ったのがきっかけ。同年10月に初めて人前で披露した。会社員時代は主に休日に活動しつつ、仕事の営業先で披露したこともあった。

 退職後は平日も活動するように。現在は、依頼があれば中信地方から飯田下伊那地域まで出向き、年間約50回の公演をこなす。同じ敬老会に何度も呼ばれることがあるため、披露した手品は毎回ノートに記録している。伊藤さんは「なんとなくやっていたら1000回になった」と笑うが、依頼は引きも切らない。「手品をやることが中心の人生になっている」と言う。

 10日は、本物の千円札が「壱億円札」に変わる手品を見せたほか、会場の深妙寺が「あじさい寺」として親しまれていることから、花が棒の先から次々と出てくる技を初めて披露した。途中で何度も「タネも仕掛けもございます」とおどけてみせ、会場の笑いを誘った。

 公演終了後、千回達成を祝う花束を渡され、「いつも通りやろうと思ったけれど、良い節目になった」と伊藤さん。今後も依頼がある限り続けるという。最前列で見ていた女性(86)は「久しぶりに手品を見て楽しみました」と笑顔で言った。