国立市のマンション解体は「富士山眺望」よりも「ミス」隠蔽が理由?

AI要約

東京・国立市内にほぼ完成していた新築分譲マンションが、建設中止・解体が決定される異例の事態が発生。

事業者は富士山の眺望を優先するための判断だと説明。現場では「富士見えず通り」と揶揄する声も。

市民や専門家からは積水ハウスの対応に疑問の声が上がり、解体に伴う損失や市の役割について議論が広がっている。

国立市のマンション解体は「富士山眺望」よりも「ミス」隠蔽が理由?

東京・国立市で完成間近のマンションが突如解体決定

「眺望を優先」異例の事態

 東京・国立市内にほぼ完成していた新築分譲マンションが、完了検査の目前になって解体が決まるという異例の事態が発生し、地元を中心に波紋が広がっている。

 問題の物件はJRの国立駅から南西方向に延びる「富士見通り」を約700メートル進んだ沿道の「グランドメゾン国立富士見通り」だ。地上10階建て、総戸数18戸の規模で7月に引き渡し予定だったが、事業者の積水ハウス(以下、積水)が6月4日に突然、国立市に建設の中止・解体を届け出た。同社は11日「遠景からの富士山の眺望に関する検討が不足していたことが引き起こした事態」であり「現況は景観に著しい影響があると言わざるを得ず、富士見通りからの眺望を優先するという判断に至り、本事業の中止を自主的に決定いたしました」とするリリースを公式サイトに掲載した。

 確かに現地では昨年の暮れから建設中のマンションが通りの彼方に望む富士山を隠すようになり、「富士見えず通りだ」と揶揄する声も上がっていた。とはいえ現場は高さ制限のない地域で容積率・建蔽率なども満たしているなど、そこに違法性は見られない。逆に解体で生じる損失は? そもそも計画段階のシミュレーションで富士山が隠れることぐらいわかっていたのでは?との釈然としない思いは残るし、そこから「何か別の理由があるのでは?」との疑問が湧くのも当然だ。

「絶対に解体はあり得ない。ここでそんなことをやれば、あちこちで解体を要求されてとんでもないことになる」と、現場に来ていた元大手ハウスメーカー社員(60代男性、現在は不動産業)は話す。この件での損失額は「数十億円になるのでは?」と推測し「ここの富士山の眺望は損なってはならないと条例に明文化していない市に責任がある」とも語った。筆者(国立に40年在住)が、これまで市民が街の景観を守ってきた歴史などを話すと「積水さんも舐めていたか、傲慢さがあったのでは」との答えが返ってきた。