既読つかないLINEに思い届ける友人…別府市ひき逃げ事件から2年「彼は殺されたと思っている」

AI要約

別府市でひき逃げ事件から2年が経過し、容疑者は逮捕されていない。事件現場を訪れた友人らは亡くなった大学生を偲び、八田容疑者の逮捕を求めて活動している。

亡くなった大学生はムードメーカーであり、友人たちにとって特別な存在だった。八田容疑者の行為を殺人と考える友人たちは正義を求めて署名活動を行い、情報提供を呼びかけている。

事件以来、母親は息子を偲び、苦しみながらも友人たちに支えられて生活している。未解決の事件に対する不安や悲しみが日々続いている。

 大分県別府市で大学生2人が死傷したひき逃げ事件の発生から29日で2年となる。道交法違反(ひき逃げ)容疑で警察庁が重要指名手配容疑者に指定している、元会社員の八田與一容疑者(27)の逮捕には至っていない。28日、死亡した男子大学生の友人らが事件現場に手を合わせ、友人の一人は「ずっと時が止まっている。彼がいないことへの喪失感がある」と複雑な思いを語った。(大山楓子)

 同市野口原の事件現場を訪れた一行は、交差点脇の防護柵のたもとに花を手向け、冥福を祈った。

 亡くなった大学生の友人男性によると、亡くなった大学生は「クールに見えてムードメーカー」。よく一緒にドライブで九州内を巡り、週末にはサウナに通った。今でもうれしいことがあると、既読のつかない大学生のLINEに報告しているという。

 「友人は全員、彼の分も生きている。それぞれが夢に向かって努力しているので自信を持って見守っていてほしい」と亡き友への思いを口にした。

 八田容疑者の容疑をひき逃げから殺人などへ変更するよう求める署名約7万7000筆を別府署に提出した後、「彼は亡くなったというより殺されたと思っている」と話した。

 友人らは市役所で長野恭紘市長とも面会。長野市長は「亡くなった本人のためにも応えないといけない。情報発信し、思い出してもらう機会をつくりたい」と述べた。

 29日には県内のほか、東京、大阪、福岡で警察官らがチラシを配り情報提供を呼びかける。新たに公開された似顔絵の入ったチラシも配布する予定だという。

 亡くなった大学生の母親は、報道陣にコメントを寄せた。「息子が突然目の前からいなくなり、いつまでも犯人が捕まらないという信じがたい現実。いまだに思いきり声をあげて泣くことができていません」と、不安や苦しみを明かした。

 約2年前の事件発生以降、「夢であってほしい」と願い、その年の8月には体調を崩して入院もした。

 独自に作製したチラシを配り、一緒に泣いてくれる友人たちに支えられ、「しっかりしないと息子に恥ずかしい」と自分に言い聞かせて暮らしてきた。