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「転職先を決めずに会社を辞めてもいい?」→カツセマサヒコの答えが正論すぎて、ぐうの音もでなかった
小説家カツセマサヒコさんの新刊『ブルーマリッジ』が結婚と離婚を通じて若手ビジネスパーソンの悩みを描いた内容で、自身の苦しい会社員時代やハラスメントの体験を元にリアリティを追求している。
好きじゃない仕事で耐え続けた5年間が今の自身のライターとしての感覚を形作ったことや、過重労働やハラスメントが体に影響を及ぼす場合は早めに逃げるべきだと語っている。
体が出すアラートを無視せずに職場を変えるべきなど、根性論よりも健康を最優先に考えるべきだとの考えを持っている。
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小説家カツセマサヒコさんの新刊『ブルーマリッジ』(新潮社)が6月27日に発売される。結婚と離婚を起点に、ハラスメントや働き方、人間関係、コミュニケーション、ジェンダーまでを描く同書は、若手ビジネスパーソン必読の一冊でもある。ダイヤモンド・ライフ編集部では、カツセさんに若手ビジネスパーソンの「あるある」な悩みごとをズバッと回答してもらった。前編のテーマは【仕事が合わない、転職したい】だ。(聞き手/ダイヤモンド・ライフ編集部 加藤桃子)
● 好きじゃない仕事で怒られる=理不尽100% 「耐えた5年間」のおかげで今がある
――新刊『ブルーマリッジ』の舞台となる会社の描写がかなりリアルで、新入社員の時の自分を思い出しました。
僕は元々、会社員としてキャリアをスタートしたので、その経験も反映させながら書きました。人事畑で働いてたので、若手の頃に感じていた緊張感を思い出しながら、職場の様子を描いていました。
ただ、自分が会社員をしていたのはもう10年も前なので、物語に出てくる会社もどこか古い印象があって。今のご時世、あまりブラックな企業だとリアリティがないと思われてしまうので、どうしたら “ひどい職場”にリアリティを持たせられるかに悩まされていました。
ちょうどそのとき、とある会社が社内のハラスメントの告発によって炎上する出来事があったんです。古い体質によって今まで暴かれずにいたハラスメントが、一つの綻びから全て明らかになる。そんな会社をモチーフにすることで、舞台としてギリギリのリアリティをようやく保てたかなっていう感じはしましたね。
――カツセさん自身は、会社員時代に悩みはありましたか。
いろいろありましたが、「自分がやりたい仕事ができていない」ことに最も悩みながら5年間勤めていました。
毎日、辞めたいと思いながら働き続けた5年があったんですよ。その耐えた5年があるから、ライターになってからは大抵のことが苦しくないんです。しんどいときもあるけれど、あの時を考えればまだマシに思えるというか。
自分の好きじゃない仕事で自分が怒られるのって、もう自分の中では「理不尽100%」の状態になってるんです。前向きになれる要素が一切ない。
反対に、ライターになってからは「自分がやりたかったことで怒られているんだから、それは俺のせいだろう」と、自分で責任を背負えるようになってきた。じゃあ頑張るだけだ、という気持ちが今もずっと続いてる気がします。
● 体が出すアラートを無視してはいけないし 「石の上にも3年」とは限らない
だから、しんどい5年間だったけれど、振り返ってみれば我慢を蓄積してよかったなっていう感覚があるんです。
でも、今回の新刊『ブルーマリッジ』で描いたように、心身に支障をきたすほどのハラスメントとか過重労働があるのであれば、その職場からは一刻も早く逃げた方がいいと思います。
会社員時代に人事畑で働いていた時、「上司がいる方だけ耳が聞こえなくなったり、頬が痙攣したりする」という症状を持った社員さんに、何度か相談を受けたことがありました。心が音を上げる前に、体が反応してるってことですから、人間の体はそこまで精密にできているのかと、当時はかなり強いインパクトを受けたのを覚えています。
それ以降、キャリアの相談を受ける時にも「体が音をあげたらそれは降参のサインで、他の仕事・職場を考えたほうがいい」とは常に言っています。本当に、心も体も、健康だけは大事です。
「石の上にも3年」とかいうフレーズもありますけど、根性論で耐えられる人は、耐えたらその後良いことがあるよという意味もわかるし、そうなる前に体調を崩すようなら、さっさと逃げたほうがいいっていう考えもすごくわかります。
一概な答えはないし、その人それぞれかなという気がしますね。