トラック諸島沖の戦没船「愛国丸」から30年ぶりに遺骨収容…厚労省、SNSでの写真拡散受け

AI要約

厚生労働省がトラック諸島沖で戦没船「愛国丸」から30年ぶりに遺骨を収容。観光ダイバーの遺骨写真拡散により収容強化。ダイバーが遺骨周りに集まる事例も。

連合艦隊拠点のトラック諸島で米空母部隊の攻撃により40隻の艦船が撃沈される。愛国丸もその1隻で、80年代や94年にも遺骨収容実施。

厚労省は遺骨の尊厳を守るため、ダイバーの目に触れる際に遺骨を収容。今回の調査で愛国丸から17柱を引き揚げ、残りの遺骨の収容を急ぐ。

 【ミクロネシア連邦=加藤学】厚生労働省は24日までに、太平洋戦争の激戦地・トラック諸島(現ミクロネシア連邦チューク州)沖で撃沈された「愛国丸」から30年ぶりに遺骨を収容した。戦没船を巡っては、観光ダイバーが遺骨の写真を撮り、SNSで拡散するケースがあったため、厚労省が収容を強化している。現場では24日も遺骨の周りに集まるダイバーが確認された。

 連合艦隊の拠点が置かれた同諸島は、1944年2月17~18日、米空母部隊の猛攻で約40隻の艦船が撃沈された。民間船から軍に徴用された愛国丸もそのうちの1隻で、厚労省によると、80年代に349柱、94年にも6柱を収容している。

 厚労省は遺骨がダイバーの目に触れるなど、戦死者の尊厳を損なうと判断した場合に遺骨を収容している。6月13~27日の日程で行っている今回の調査もその一環で、24日までに愛国丸から16柱、別の船から1柱を引き揚げた。愛国丸では、ほかにも多数の遺骨とみられるものが見つかっており、収容を急ぐ。

 厚労省は遺骨を日本に持ち帰り、DNA型鑑定をして身元を調べる。先の大戦で沈んだ艦船から収容された遺骨は昨年度の時点で685柱にとどまり、今も30万柱が海に眠っているとされる。