山間部の郵便局に診療所、山口県周南市が全国初の本格導入…オンライン診察も可能に

AI要約

山口県周南市は医療機関がない山間部の和田地区に、対面やインターネットのオンラインで診察する診療所を開設する。石川県に続く取り組みで、全国で初めての試みとなる。

診療所ではオンライン診察が可能であり、対面診察後は調剤薬局で服薬指導を受け、薬は自宅に届く仕組みとなっている。

和田地区では医療機関不足が課題となっており、新設される診療所によって住民の医療ニーズに対応する取り組みが進められている。

 山口県周南市は医療機関がない山間部の和田地区の高瀬郵便局に、対面やインターネットのオンラインで診察する診療所を7月に開設すると発表した。市などによると、診療業務に郵便局を活用する取り組みは石川県七尾市が昨年度に実証事業として試みているが、本格導入は周南市が全国で初めてという。(河村輝樹)

 周南市地域医療課によると、日本郵便が協力し、高瀬郵便局の一室に巡回診療所を開設。オンライン診察を希望する人は、最初に市国民健康保険鹿野診療所から出向く医師が対面で診察し、オンラインでの経過観察が可能か判断する。その後のオンライン診察(8月から、第3火曜日を除く毎週火曜日)は予約制で、診療所に置かれたカメラ付きパソコンを通じて同診療所の医師が診る。

 診察後、パソコンの画面を市内の調剤薬局に切り替え、薬剤師の服薬指導を受ける。薬は後日、自宅に届く。パソコンが苦手な人には郵便局員が補助する。

 市北西部にある和田地区の人口(5月末現在)は1037人(高齢化率57・3%)。2016年2月に民間医院が閉院し、住民はマイカーや家族の送迎で市街地の医療機関を利用している。高齢化が進む中、医療体制の確保が課題となっており、市は今年度、鹿野診療所特別会計当初予算に事業費92万7000円を計上していた。7月16日に高瀬郵便局近くの和田市民センターで開設セレモニーを行う。

 20日の定例記者会見で発表した藤井律子市長は「定期的に診療を受けなければならない住民にも対応できる。これまで遠方の病院に通っていた高齢患者の負担軽減にもなる」と語った。