なぜ同じ文様の銅鏡でサイズ異なる…粘土で鋳型作って鋳造し3次元計測、実験で量産技術を解明

AI要約

奈良県立橿原考古学研究所が古墳から出土した銅鏡について、3次元計測を応用して再現技術を実施した。

実験の結果、鋳造時の収縮や乾燥タイミングが鏡のサイズ違いに影響していたことが明らかになった。

展示では約20点のパネルや模造鏡が無料で公開されており、当時の技術的な国際交流の在り方を示す可能性がある。

 古墳から出土した銅鏡について、奈良県立橿原考古学研究所が3次元計測を応用して「同型鏡」の量産技術を再現する実験を実施した。この時代の鏡作りを知る手がかりになる。7月23日まで橿原市の同研究所で開くアトリウム展で実験の成果を紹介している。(関口和哉)

 画文帯神獣鏡などの古墳時代中・後期の同型鏡は、同じ元型で複数の鋳型を作り、同じ文様の鏡を量産している。だが、文様は同じでもサイズが異なるものもあり、その理由はよくわかっていなかった。

 このため、模造鏡(原鏡)を粘土に押し当てて文様を転写した鋳型から実験鏡を鋳造。3次元計測で形状の変化を調査した。

 その結果、原鏡に対して実験鏡は約5ミリの収縮をし、想定したモデルと合致した。鋳型の乾燥が収縮の重要な条件となることがわかり、原鏡を鋳型から抜くタイミングが遅ければ、収縮はほとんど目立たなくなり、収縮が抑制されることを突き止めた。こうしたことがサイズの違いになっていたとみられる。

 水野敏典・資料課長は「中国か日本か、製作地の特定までは至らないが、鋳造技術から鏡のグループ分けができるのではないか。当時の技術的な国際交流の在り方を示す可能性もある」と話している。

 アトリウム展ではパネルや実験に用いた模造鏡など約20点を展示。無料で、平日午前8時半~午後5時15分。問い合わせは同研究所(0744・24・1101)。