【プレイバック’14】「〇〇くんのため」男性にマンション3戸を買わせた婚活サイト美女の〝手管〟

AI要約

10年前の’14年6月6日号掲載の記事では、婚活中の男性が投資用マンションの話に巻き込まれる様子が詳細に描かれている。

記事によると、男性は相手の女性から投資話を持ちかけられ、最終的に2000万円近くの借金を抱える結果となってしまう。

国民生活センターによると、婚活サイトを通じた投資関連のトラブル相談が増加傾向にあり、注意が喚起されている。

【プレイバック’14】「〇〇くんのため」男性にマンション3戸を買わせた婚活サイト美女の〝手管〟

10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックをいまふたたび振り返る【プレイバック・フライデー】。今回は10年前の’14年6月6日号掲載の「婚活男性にマンション3戸買わせた投資会社美女の『スゴすぎる手口』」をお届けする。

’10年にわずか4%だったスマホの普及率は’14年には46.7%まで急増した(NTTドコモ モバイル社会研究所調べ)。スマホの普及により、マッチングアプリでの婚活も徐々に一般的になった。だが、当時から〝怪しい話〟はあったようだ。記事は婚活中だったある男性が相手の女性から持ちかけられた投資話の顛末だ。(以下《 》内の記述は過去記事より引用)

◆「ずっと面倒みていくから…」の言葉を信じて

’10年5月ごろに婚活サイトで、都内でOLをしているという女性と知り合ったという村田正樹さん(仮名・当時37)。だが、この女性に好意を持ったことがきっかけで、投資用のマンション3戸を買わされてしまったという。彼に何が起きたのか。

《「『いい人そうなんで、携帯でやりとりしませんか?』と連絡があり、電話番号とメアドを教えてくれました。約1週間後、『会ってみたい』というメールが来て、彼女の職場がある赤羽橋でランチをしました。20代前半と若く、見た目もかわいいうえ、しっかりした印象を持ちました」

村田氏は、AKB48の高橋みなみ似のこの女性と週に1度のペースで食事を重ねるようになる。ある日のデートで女性は、小学生のときに父親が事業で失敗して自己破産し、一家心中まで考えたこと、母親が半分寝たきりの状態で両親の面倒を見なければならないことなどを伝え、応援してほしいと懇願してきた。家族のデリケートな話を打ち明けてくれたと感じた村田氏は、この時点では、女性が投資会社に勤めていることは知らなかった。》

彼女との食事はいつも割り勘で「奢られるのはイヤ」と彼女は言っていたという。村田氏は、そんな彼女をおカネのために人を騙すような人ではないとすっかり信用するようになる。だが、その次のデートで彼女が村田氏に持ちかけてきたのは投資話だった。

「マンションを購入して人に貸せば税金が還付されるからサラリーマンにとっては節税になるし、老後はマンションの収入が年金代わりにもなる」と世田谷区のマンションの購入を勧めてきたのだ。やけに説明が上手で収支のシミュレーション資料まで持ってきた彼女に対して村田氏が疑念を口にすると、彼女は意外な反応をみせた。

《『場違いじゃないか。営業されている気分だ』と言ったら、『正樹君の利益のためにやってるんだよ』と激怒されたんです。すぐに詫びると、『将来にわたって正樹君の面倒を見ていくから』と言われ、その言葉からも婚姻を考えました》

投資話を断るどころか、彼女にほだされてすっかり結婚まで意識してしまった村田氏。その次のデートで彼女は村田氏に別の物件を持ってきた。マンションの購入を勧める〝セールストーク〟はさらに巧妙になっていた。

《紹介されたのは、葛飾区の2戸です。世田谷区の物件より、月々の家賃収入がローン返済を上回っており、『上司にムリを言って確保したの。商談が成立しなければ会社をやめる』とまで言うのです。断れませんよね。契約の席では、彼女の上司からも『コイツがムリを言うから』と言われました。会社ぐるみだったんです》

マンションの金額は1570万円と1600万円。この段階で2人には肉体関係はなかったが村田氏は彼女の「ずっと面倒を見たい」という言葉を信じて頭金240万円を払い、35年ローンを組んだ。

その後、彼女から「仕事が忙しくて会えない」というメールが来るようになり、しばらく会えない日が続いたという。そして’11年の5月ごろ、久しぶりに彼女から「会いたい」というメールが。しかし当日のデートを心待ちにして彼女に会いに行った村田氏を待っていたのは、別のマンションの〝商談〟だった。彼女にきらわれたくない一心で、村田氏は埼玉県川口市の2360万円のマンションの購入話を、その日のうちにまとめてしまう。

《その契約以降、さらに疎遠になりました。半年後、『クリスマスだけど、忙しい?』とメールすると、珍しく返信があったのです。ティファニーのボールペンが欲しいと言うので、それをプレゼントしました。このとき、3戸分の収支は月6000円ほどマイナスでしたが、彼女は、『それは私が取り戻すから。深夜まで仕事で休みがないけど、がんばるから』と泣くんです。そんな状況を伝えられたら『会いたい』とは言いにくいですよね》

2人が会ったのはこれが最後となった。’12年5月にはメールの返信もなくなり、その年の秋に電話がつながらなくなったことで村田氏はようやくダマされていたことを確信したという。

《彼女はすでに会社をやめていたそうです。物件を審査に出したら6割から半額程度の価値でした。収支シミュレーション表もデタラメで、私以外にも3~4人、彼女にダマされた人がいることもわかりました。葛飾の物件については、不動産会社が残債にプラスαで買い取ってくれるということで和解しました。しかし、川口の物件の不動産会社とその代表、そして投資会社と代表と彼女の5者に対しては提訴しています。もう結婚相手を探す気にもなれませんし、2000万円近くの借金を抱えているので、誰にも相手にしてもらえないでしょうね》

未来へ向けての〝婚活〟が村田氏の将来に思わぬ暗い影を落とす結果となってしまった……。

国民生活センターは’14年1月に、婚活サイトなどで知り合った相手から、将来のための財産形成や資産運用を口実に、投資用マンションなどを購入してしまったという相談が多発しているとして注意喚起を行っていた。国民生活センターによると、アプリや出会い系サイトなどが関係したデート商法のトラブル相談は’11年度には63件だった件数が、’20年度は171件と3倍近くまで増えている。

コロナ禍を契機にオンラインでの人と人との交流はさらに増えた。マッチングアプリでの出会いもさらに一般化して「パパ活」という形で男女が出会うようになったことで、さらになりふりかまわず男性からおカネを巻き上げる「頂き女子」も登場している。村田氏のように結婚相手と信じた女性に貢いでしまうケースはもはや珍しいケースではないのかもしれない。