暴力団「工藤会」進む弱体化、離脱促す・社会復帰を支援する取り組み「警察が関与し、組からの報復を防ぐ」元福岡県警刑事部長・尾上芳信氏が語る

AI要約

福岡・北九州の特定危険指定暴力団「工藤会」が弱体化している理由について、元福岡県警の刑事部長が指揮した壊滅作戦や暴力団員の減少などを紹介。

尾上氏が指導する暴追センターが暴力団員の離脱や就労支援を行い、過去の教訓から再犯防止に取り組んでいる様子。

暴力団員の就労支援や半グレ集団の取り締まりなど、暴力団の弱体化に向けた取り組みを全国的に推進する必要性について述べられている。

暴力団「工藤会」進む弱体化、離脱促す・社会復帰を支援する取り組み「警察が関与し、組からの報復を防ぐ」元福岡県警刑事部長・尾上芳信氏が語る

 「みかじめ」を断る飲食店に危害を加え、警察官への発砲や、一般市民の殺害も行っていた、福岡・北九州の特定危険指定暴力団「工藤会」が弱体化しつつある。

 元福岡県警の刑事部長だった尾上芳信氏が指揮した、工藤会壊滅の「頂上作戦」によって、幹部は逮捕。2014年9月に逮捕された野村悟総裁は、一審の死刑判決が出るも、控訴審では一部無罪判決が下され、無期懲役となった。

 福岡県警によると、工藤会の勢力(準構成員らを含む)は、2008年の1210人をピークに、福岡県暴力団排除条例の施行(2010年)、特定危険指定暴力団への指定(2012年)、頂上作戦の着手(2014年)などを経て、2023年現在は240人にまで減少している。

 現状は「そのうち半数以上は収監中」だと話す尾上氏は、北九州市民のために「工藤会トップを検挙しなければダメだ」との思いで、頂上作戦に取り組んだ。「実は半世紀前にも、工藤会を壊滅状態に追い込んだ。しかし当時は刑期が短く、出所した組員が戻り、今の凶悪な工藤会がつくられた経緯がある」。

 当時の反省や教訓を生かして、尾上氏の現職である福岡県暴力追放運動推進センター(暴追センター)など全国で、在監中に暴力団を辞めるよう説得し、出所後は協賛企業への就職支援を行っている。「所属する暴力団の組長に、離脱の承認書を出させる。警察や暴追センターが関与して、手出しできないようにしている」。

 組員が暴力団へ入る動機としては、「楽して稼ぎたい」ケースが多く「離脱・就労させる難しさはある」ものの、「働いて足を洗いたい人は、全力でサポートする」という。元組員が社会復帰に動いても、離脱後5年間は反社会的勢力とみなされる、いわゆる“5年ルール”がある。しかし「5年ルールがあっても、一定期間真面目に働いていれば、暴追センターや県警が金融機関との間に入り、5年以内でも銀行口座を作った事例はある」そうだ。

「(暴力団を弱体化させるため)離脱や就労サポートに、県警や暴追センターは力を入れていくべきだ。暴力団と同じような活動をする半グレ集団も、取り締まる必要がある。全国的に連携しながらやっていこうという取り組みを行っている」(福岡県暴力追放運動推進センター・尾上芳信氏)

(『ABEMA的ニュースショー』より)