【スクープ】「超大手法律事務所」弁護士34人が8700万円の詐欺被害か、逮捕の税理士は有名作家の親族

AI要約

東京地検特捜部が税理士を逮捕し、大手法律事務所の弁護士34人が約8700万円をだまし取られた異例の事件が起きた。

被害に遭った法律事務所は森・濱田松本法律事務所で、有名な弁護士事務所であることが明らかになった。

逮捕された税理士はMHM税理士事務所の顧問税理士で、ナガホリの株式取得においても関与が指摘されている。

【スクープ】「超大手法律事務所」弁護士34人が8700万円の詐欺被害か、逮捕の税理士は有名作家の親族

 東京地検特捜部は6月5日、税務顧問契約を結ぶ法律事務所の弁護士34人から約8700万円をだまし取ったとして、東京の税理士を逮捕した。税理士が弁護士をだましたとされる異例の事件だが、取材を進めたところ、被害に遭った法律事務所は国内有数の大手とみられ、さらに逮捕された税理士は有名作家の親族であることが明らかになった。(東京経済東京本部長 井出豪彦)

● 弁護士34人がだまされた 法律事務所の名前

 東京地検特捜部は6月5日、税理士の笹澤知夫容疑者(63)を詐欺容疑で逮捕した。笹澤容疑者は2022年4~11月、税務顧問契約を結んでいた法律事務所に所属する34人の弁護士から共済金の掛け金名目で約8700万円をだまし取った疑いがあるという。

 税理士が弁護士をだましたとされる異例の事件だが、被害に遭ったのが少なくとも34人の弁護士が所属する法律事務所というから、それなりの大手の事務所ではないかと弁護士業界がざわついた。

 結論から言うと被害に遭ったのは「森・濱田松本法律事務所」(東京都千代田区)の弁護士たちとみられる。この事件について、事情を知る人物が筆者に証言した。

 森・濱田松本といえば、「西村あさひ」「アンダーソン・毛利・友常」「長島・大野・常松」「TMI」と並ぶ五大事務所の一角で、週刊ダイヤモンド3月23日号の特集によれば、所属する弁護士数は754人で、西村あさひの832人に次ぐ2位だ。東大出身者がそのうち約半分を占めるという。スーパーエリートがだまされた背景には何があったのか。

● 思わぬところで登場した 笹澤容疑者の名前

 前出事情通によれば、笹澤容疑者は森・濱田松本の関連組織である「MHM税理士事務所」(千代田区)で顧問税理士の立場にあった。その立場を利用して多くの弁護士を信用させていたとみられる。

 実際、MHM税理士事務所のウェブサイトのアーカイブを確認すると、2015年12月の時点で「所属税理士等」に「笹澤知夫 顧問」として笹澤容疑者の名前が確認できる。しかし、2023年1月の時点では名前が消えていた。最後に顧問としての記載が確認できるのが2022年5月のアーカイブだ。

 この間、笹澤容疑者の名前が思わぬところで登場していた。

 実は、東証スタンダードに上場する宝飾品大手「ナガホリ」(東京都台東区)の経営権を巡る騒動で、買い占め側の「リ・ジェネレーション」(港区)が2022年4月14日に初めて提出した「大量保有報告書」には、ナガホリ株式115万株(6.87%)の取得資金4億2500万円の原資が「合同会社STAND UP GROUP」(港区、不動産業、以下SUG社)という会社から借入金であると記されている。このSUG社の2人いる代表社員の1人が笹澤容疑者である。

 翌日の「変更報告書」でリ・ジェネ社の持ち株比率は9.96%に上昇し、取得金額合計も7億1700万円となったが、引き続き原資全額がSUG社からの借り入れとなっている。

 SUG社はナガホリ株に担保権を設定しておらず、実質的に無担保でリ・ジェネ社に融資していることになる。

 ナガホリ側はリ・ジェネ社に対し、SUG社からの借入条件や同社の2人の代表社員などとの関係について質した。