中2自殺、36件のいじめ認定 市教委第三者委 兵庫・相生

AI要約

報告書によると、生徒は1年時から学校でいじめを受け、その主な要因として36件以上のいじめがあったことが認定された。

調査委員会は学校の対応が不十分であり、いじめを単発の現象としてしか捉えていなかったと指摘した。

生徒の両親も怒りと後悔の気持ちを表明し、市教委に対して報告書を公開するよう要望した。

中2自殺、36件のいじめ認定 市教委第三者委 兵庫・相生

 兵庫県相生(あいおい)市立中学校2年の男子生徒が2023年3月に自殺した問題があり、市教委が設置した第三者委員会は8日、同級生らから少なくとも36件のいじめを受けたと認定し、自殺に至った主な要因と結論付けた報告書を公表した。調査委は学校の対応が不十分だったと指摘した。

 報告書によると、生徒は1年時から学校で「きもい」「うざい」などと陰口を言われていた。2年の2学期以降は日常的に、殴られたり椅子を蹴られたりする▽無理やりズボンをずらされそうになる▽首をつかまれ、窓から下に落とされそうになる――といったいじめを受けた。

 22年12月には複数の生徒に校舎に閉じ込められたほか、23年2月の校外学習ではバスの中で寝ている写真を撮られ「変態」という言葉とともにインスタグラムに投稿された。学校はこの2件をいじめとして認識していたが、いじめ防止対策推進法に基づく対応チームを設置せず、一部の教員のみで対応。同月に実施した学校生活アンケートで生徒がいじめを訴えたが、簡単に聞き取りをしただけで管理職に報告されなかった。

 記者会見した調査委員長の曽我智史弁護士(兵庫県弁護士会)は「教室でいじめが公然と行われていた。一部の生徒は聴衆のようになっていたと考えられ、生徒は孤立感を深めた」と指摘。学校の対応について「いじめを単発の現象としてしか捉えていない。教員間の人間関係の悪さから情報共有されず、生徒への継続的なフォローやケアがされていない」と批判した。

 会見で坂本浩宣教育長は「痛恨の極みであり、申し訳なく思っている」と陳謝。今後、学校関係者の処分も検討する。

 生徒の両親も会見に応じた。父親は「学校からも加害生徒からも一切謝罪がない」と憤り、「本人も私たちもいじめを訴えたのに学校は対応しなかった。もっと強く学校に言うべきだった。後悔の気持ちでいっぱいだ」と声を詰まらせた。報告書を公開するよう市教委に要望したという。【村元展也】

 ◇相談窓口

・24時間子供SOSダイヤル

 いじめやその他の悩みについて、子どもや保護者などからの相談を受け付けています。原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながります。

 0120・0・78310=年中無休、24時間。

・子どもの人権110番

 「いじめに遭っている」「家の人に嫌なことをされる」など、先生や親には話しにくい相談に法務局の職員や人権擁護委員が応じます。

 0120・007・110=平日の午前8時半~午後5時15分

・まもろうよ こころ(https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/sns/)

 さまざまな悩みについて、LINEやチャットで相談を受けている団体を紹介する厚生労働省のサイトです。年齢や性別を問わず、自分に合った団体を探せます。

・こころの悩みSOS(https://mainichi.jp/shakai/sos/)

 悩みを抱えた当事者や支援者への情報のほか、相談機関を紹介した毎日新聞の特設ページです。