池田小事件23年、当時担任だった校長は不審者訓練に全力…「対策できていなかった」悔やむ

AI要約

2001年6月に幼い8人が犠牲になった大阪教育大付属池田小児童殺傷事件は追悼式典が営まれ、当時の教員が悔恨の思いを語った。

事件時、校内で不審者侵入に適切な対策ができていなかったことから、真田巧校長が自責の念を抱いている。

真田校長は事件後に不審者対応訓練を実施し、教員らの対応力を高めようとしている。

 2001年6月に幼い8人が犠牲になった大阪教育大付属池田小児童殺傷事件は8日、発生から23年となり、同小で追悼式典「祈りと誓いの集い」が営まれた。当時現場にいた教員は子どもたちの命を守れなかった無念さを胸に刻んだ。

 「不審者侵入に対する想定や対策ができていなかった」。校内で唯一、事件を経験した真田巧校長(56)はこの日の追悼式典で、今も抱える悔恨の思いを語った。

 真田校長は事件時6年生の担任として、校舎3階にいた。休み時間に子どもたちとたわいもない話をしていると突然、悲鳴や叫び声が聞こえた。外を見ると、同僚が血を流して倒れているのが見えた。

 あの日からずっと胸につかえているのは、「男を侵入させてしまい、亡くなった1、2年生に何もできなかった」という自責の念だ。

 だからこそ、事件後に池田小で始めた不審者対応訓練には全神経をとがらせる。いったん同小を離れた後、20年に校長で赴任して以降も年5回ほど実施している。

 対応力を高めるため、不審者役がどのように動くか参加する教員らは知らない。急に走り出し、暴れる不審者役を、複数人で大声を出して壁際に追い込み、「さすまた」で取り押さえる。転倒してあばら骨を折ったり熱中症になったりする教員もいたが、続けている。

 新たに赴任した教員らは毎年4月の春休み中に行う訓練で、真剣に取り組むようになるという。「一人一人が今の自分たちの学校で何ができるのか。自分ごととして考えてほしい」。真田校長は、首からぶら下げた、緊急事態を伝える笛を手に、そう語った。

 ◆大阪教育大付属池田小児童殺傷事件=2001年6月8日午前10時過ぎ、大阪府池田市の池田小校舎に当時37歳だった宅間守・元死刑囚(04年9月に死刑執行)が包丁を持って侵入し、児童や教師を次々と襲った。1、2年生計8人が死亡、他の児童13人と教師2人が重軽傷を負った。