松岡充「ボロボロで『自分には何もない』時も、生きたいと思った」 原点はヒリヒリした必死さ

AI要約

SOPHIAは2024年に結成30周年を迎える。ボーカルの松岡充は20年以上俳優としても活躍。音楽活動と役者活動は異なる方法論を持つが、異なる視点から自分を見ることで新たな発見がある。

松岡は俳優業をやり始めた際、「もう二度とやらない」と思っていたが、俳優業の厳しさや独自の魅力に徐々に理解を深めていく。

舞台も根本はライブや音楽のような瞬間を生きる場だと考える松岡。役を生きるために、作品の掛け持ちをしていないことを明かし、舞台において一期一会の感覚を大切にしている。

松岡充「ボロボロで『自分には何もない』時も、生きたいと思った」  原点はヒリヒリした必死さ

 SOPHIAにとって、2024年は結成30周年となる節目の年だ。ボーカルの松岡充さんは俳優としても20年以上活躍している。音楽活動と役者活動はどうリンクしているのだろうか。

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■「もう二度とやらない」と思っていた

松岡 そもそも俳優とミュージシャンは、方法論は全く違います。全く違う方向から見ることで、それぞれにないものがわかってくるのは楽しいですね。2つの視点から自分を見るのもいいことだと思います。

 でも、俳優業をやり始めた頃は、毎回「もう二度とやらない」と思っていました。めちゃくちゃ面倒くさいんです(笑)。こんなことを言うとミュージシャンが偉そうにと思われるかもしれませんが、よく「曲が降りてくる」とか言うじゃないですか。音楽活動は極端な説明になりますが、心が動いていないものをレコーディングしろと言われても無理なんです。一方、たとえば舞台は何時に始まって何時に終わるかすべて決まっているなかで、作品にしなければいけない。最初はそれがすごくしんどかった。「自由に創らせてくれ」とずっと思っていました(笑)。でも、その意味もわかってきました。

■舞台の根本はライブと同じ

──近年、舞台作品に多く出演している。

松岡 舞台も根本はライブや曲と一緒だと思っています。舞台は毎日違う人が来るし、同じ人が来てくれたとしても1度目と2度目では違う方向から見ていることもある。毎日違うものが生まれる「ライブ」だと思っています。

 舞台はその時だけの瞬間を生きなければいけないし、その時だけの誰かに届けるために考えてやらなければいけない。だから僕は役を生きるために、作品の掛け持ちをできないんです。

 舞台に慣れてしまうのは怖いですね。おそらくその芝居は誰の心にも響かないし、すぐに忘れられてしまうと思ってしまうのかな。

──脚本を読んで、「すぐに出演したいと思った」という5年ぶりの単独主演舞台が、「Change the World」だ。原作は「HERO」や「アンフェア」 で知られる秦 建日子氏。「サイレント・トーキョー」 というタイトルで映画化された「And so this is Xmas」 の続編で、三部構成の二作目「Change the World」(河出書房新社刊)を秦自ら脚本を書き下ろした、初の舞台化になる。SOPHIAの10年ぶりの新曲「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」がテーマソングだ。