奈良の各所に「ひんやりオアシス」…役所・郵便局や店舗でも、誰でも気軽に涼んで熱中症予防

AI要約

奈良市は、公共施設などをクーリングシェルターに指定し、熱中症対策を強化している。施設は清涼感漂う空間で市民に涼を提供しており、施設利用時間も広くなっている。

奈良県葛城市も同様に9か所で「涼もう場所」として利用が可能で、体調がすぐれない人には飲料を無料で提供している。

他の市町村もクーリングシェルターの運用を始めており、暑い夏に備えて緊急連絡先などを記入するカードを配布するなど、積極的な取り組みが広がっている。

 奈良市は今年度、市庁舎などの公共施設や郵便局、薬局など約100か所をクーリングシェルターに指定し、3日から運用を始めた。愛称を「ひんやりオアシス」と名付け、清涼感漂う青いのぼり旗を作って施設の入り口に設置。訪れた市民は、施設のロビーや待合スペースなど冷房の利いたエリアで、椅子に座って涼をとることができる。

 施設は、環境省が「熱中症特別警戒アラート」を発表した場合に開放が義務づけられているが、市はアラートにかかわらず、9月30日まで施設が開いている時間は利用できるようにした。熱中症による健康被害を防ぎ、年間約230件ある救急搬送を減らすのが狙いだ。

 市医療政策課の担当者は「これから暑い日が続くので、熱中症対策につなげてほしい」と話している。

 奈良県葛城市も、公民館など公共施設9か所で「涼もう場所」として、5月中旬から運用を開始。開庁日はアラートが出ていなくても10月23日まで利用できる。体調がすぐれない人には、職員が飲料を無料で配る。

 また、事業者にも協力を呼びかけており、これまでに郵便局やスーパーなど6か所が指定に加わった。市は、約20か所の指定を目指している。

 県内12市のうち、これまでに7市が運用を開始しており、天理市や宇陀市、御所市などがホームページで指定施設を公開。御所市では、施設の利用者に氏名や緊急連絡先、持病などを記入するカードを配布し、体調が悪化した場合に備えている。

 一方、クーリングシェルターの制度は始まったばかりで、指定が進んでいない自治体もある。生駒市は「6月中には指定したい」、王寺町は「検討中」としている。

 気象庁などによると、2023年夏(6~8月)は、1898年の統計開始以来、最も暑い夏となった。6~9月の熱中症死者数は、過去10年で最多の1555人となった。今夏も、全国的に平年よりも高温になる見通しで、酷暑を乗り切るためにはクーリングシェルターの活用が有効だ。