藤井聡太棋聖、5連覇での永世称号資格獲得へ盤石先勝「いいスタートが切れてよかった」 棋聖戦第1局/将棋

AI要約

藤井聡太棋聖が山崎隆之八段に対し、90手で先勝したヒューリック杯第95期棋聖戦の初戦。藤井棋聖は永世棋聖の資格を目指し、山崎八段の独創的な棋風に冷静に対応する。

AI時代の最強棋士である藤井聡太棋聖が、山崎八段の攻めに対して巧みな手を指して優勢を築く展開。山崎八段の攻めに対しても的確に対応し、90手で勝利を収める。

藤井聡太棋聖は、今回の勝利で永世棋聖の資格を獲得する可能性が高まり、次戦に向けてしっかりと準備を進める。

藤井聡太棋聖、5連覇での永世称号資格獲得へ盤石先勝「いいスタートが切れてよかった」 棋聖戦第1局/将棋

将棋のヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負(主催・産経新聞社など、特別協賛・ヒューリック)が6日、千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で指され、後手番の藤井聡太棋聖(21)=名人など8冠=が、挑戦者の山崎隆之八段(43)に90手で先勝した。注目の初戦は初タイトル奪取に挑戦する山崎八段の独創的な棋風に混乱することなく対応。5連覇で永世棋聖の資格を獲得すると、中原誠十六世名人の最年少記録、23歳11カ月を更新する。

オーシャンビューの会場周辺には東京湾の心地よい海風が吹く中、藤井棋聖が偉業達成に向けて〝追い風〟に乗った。重圧のかかる初戦で勝利し、「まずはいいスタートが切れてよかったです」と安堵の表情を浮かべた。

AI(人工知能)時代の申し子といわれる絶対王者に、山崎八段の独創的な棋風は通用するか-。AI研究にはない山崎八段らしい手が飛び出したのは、37手目の▲7五歩。相手の牽制に藤井棋聖は「それほど経験のない形になって、どういう駒組みがよいか、一手一手手探りだった」と振り返ったが、4筋の歩を突いて冷静に対応。相手の桂が待機する3筋に攻めを集中させた。52手目△3五歩と打ち込むと、相手は53手目▲同歩。これに54手目で△同銀と攻め上がって優勢を引き寄せた。

最後は大駒がぶつかる激しい攻め合いとなった。「斬り合いになって判断の難しい局面が続いた」。前傾姿勢をさらに深めて集中。山崎八段は意表を突く指し回しで逆転するのが持ち味とあり、65手目に▲2四飛という強気な攻めに出たが、藤井棋聖は自玉が詰まないと読み切って、66手目△4八銀不成で敵陣の玉に迫った。精密な読みで相手を1分将棋に追い込み、90手で制した。

通算勝率で8割超えの藤井棋聖だが、今年度は今回の第1局前まで7勝3敗の7割。並行して行われる叡王戦では挑戦者の伊藤匠七段(21)にタイトル戦で初めて連敗を喫するなど本調子ではなかった。対局前日には「ちょっとしたミスがあったので、その点は改善しなければいけない」と明かしており、課題をクリアしながら棋聖戦を迎えていた。

控室には立会人の深浦康市九段(52)や中川大輔八段(55)らが集まって対局を見つめた。決着の瞬間は「藤井棋聖の読みが上回った」と感嘆の声が上がった。今回は5連覇と永世棋聖(通算5期以上保持)の資格獲得を目指す藤井棋聖。17日に新潟市で指される第2局に向け「しっかり準備を進めたい」と静かな口調で連勝を狙っていた。(山内倫貴)