首相の自民総裁任期中の改憲「厳しい」 浜田靖一国対委員長が言及 規制法への影響懸念か

AI要約

自民党は、憲法改正よりも法案の通過を優先する姿勢を示している。

首相の憲法改正目標達成が困難視され、今年中の実現を目指す方針に変化している。

自民内で改憲案の提出計画が進んでおり、対立党の反発を懸念する状況にある。

自民党の浜田靖一国対委員長は5日、岸田文雄首相(自民総裁)が目標に掲げる今年秋までの総裁任期中の憲法改正に関し、国会内で記者団に「なかなか厳しいといえるのではないか。(今国会では)今ある法案をすべて通すための努力を優先すべきだと考えている」と述べた。政治資金規正法改正などの議論が大詰めを迎えており、改憲に後ろ向きな立憲民主党を刺激することを避けたい意図も透ける。

憲法改正をめぐっては、自民の石井準一参院国対委員長も4日、法案審議を優先すべきだとの認識を記者団に示していた。自民は参院で単独過半数に届いていないため、立民や、改憲に前向きではない参院公明党の不満を抑え、規正法改正案などの成立や今後の国会運営に万全を期す狙いがありそうだ。

そもそも首相の目標達成は困難視されていた。秋までに憲法を改正するためには今国会の会期末(23日)までに憲法改正を発議する必要があるとされていた中、衆院憲法審査会では自民が主張した改憲原案を協議する起草委員会の設置が一向に進まず、参院憲法審の議論も停滞している。

このため、最近の自民は首相の目標よりも、令和6年運動方針で示した今年中の実現を目指すとのめどを強調する場面が目立っていた。

首相の目標達成が困難との見通しが共有されつつあった一方、将来に望みをつなぐべく自民内で検討が進んでいたのが、この通常国会に改憲案を提出する計画だ。衆院側で自民と公明、日本維新の会などが選挙困難時に国会議員の任期延長を可能にする改憲の必要性を共有していたことが背中を押した。改憲案の提出自体が憲政史上、極めて異例であり、自民関係者は「実現すればインパクトは大きい」と語る。

もっとも、具体的な条文化が伴う改憲案の提出は「立民切りを意味する」(自民幹部)ため、野党第一党の反発を懸念する参院自民や連立を組む公明の同意を得られるかは不透明だ。このため、自民は改憲案、もしくはその前段階の「要綱」を党意思決定機関の総務会に諮ることにとどめる案を含め、対応を協議する構えだ。(内藤慎二)