「大切な人と深くつながるために」...令和世代の教科書にも載っている「コミュニケーションが得意」になれる秘訣とは

AI要約

作家の鴻上尚史が新刊『君はどう生きるか』で、10代に向けたメッセージを述べる。

コミュニケーションの重要性と、自分の意見をしっかり伝える姿勢について説明される。

コミュニケーションが上達すれば、大切な人とのつながりが深まることが示唆される。

「大切な人と深くつながるために」...令和世代の教科書にも載っている「コミュニケーションが得意」になれる秘訣とは

 いままで、「大切な人と深くつながるために」「いじめられている君へ」「親の期待に応えなくていい」など、10代に向けて多くのメッセージを発信してきた作家の鴻上尚史さんが「今の10代に贈る生きるヒント」を6月12日に刊行する。その書籍のタイトルは『君はどう生きるか』。昨年ジブリの映画でも話題になった90年近く前のベストセラーをもじったこのタイトル。なぜ「君たち」でなくて「君」なのか。そこには鴻上尚史の考える時代の大きな変化があった。

 『君はどう生きるか』(鴻上尚史著)より抜粋して、著者がいまを生きる10代に贈るメッセージを一部紹介する。

 『君はどう生きるか』連載第3回

 『「じつは多様性の世界はしんどい」…いまを生きる令和世代へ、鴻上尚史が「多様性神話」の影にある「協働」の大切さを説く』より続く

 これは、光村図書という会社が出している小学6年生の国語の教科書に、2020年度から2023年度までの4年間、載っていたものです。

 タイトルは、「大切な人と深くつながるために」。

 あなたが友だちと、いっしょに遊びに行く相談をするとします。本当の気持ちを言わないで周りに合わせているだけなら、あなたはだれとでも仲よくできます。でも、あなたが、本当に行きたい場所、したいことを言いだしたら、だれかとぶつかります。

 それは悪いことではありません。それは当たり前のことで、それでいいのです。

 そういうとき、人は、なんとかうまく自分の意見を言って、相手と話し合い、コミュニケーションしようとします。

 さて、あなたは、コミュニケーションが得意ですか。それとも苦手ですか。

 「コミュニケーションが得意」とは、だれとでも仲よくなれることだと一般的には思われています。でも、「コミュニケーションが得意」とは、相手ともめてしまったとき、それでも、なんとかやっていける能力があるということです。

 私たちは一人一人違うので、遊びの相談をしていても、お互いの希望がぶつかります。

 そういう時、かっとしたり、だまったり、無視したり、だれかががまんしたりするのではなく、お互いが少し不満だけど、とりあえずやっていける解決を見いだせるのが、「コミュニケーションが得意」ということなのです。

 もちろん、それは簡単なことではないです。でも、あなたに大切な人がいたら、その人とはちゃんと理解し合いたいと思うでしょう。この人にだけは、分かってほしいと思うでしょう。

 コミュニケーションの技術が上達すればするほど、あなたは大切な人とつながることができるのです。