トビタテ!留学JAPANが後押し、中高生向け「大使館ツアー」留学意欲を高める仕掛け

AI要約

文部科学省主導の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の一環として運営される「#せかい部」は、高校生向けの海外関心喚起プロジェクトで、SNSを通じてリアルな海外の様子を発信している。

「#せかい部」は中高生の公募メンバーによって運営され、留学や海外経験のあるメンバーが多く参加しており、これまでの取り組みでは応募倍率が高い。

プロジェクトではSNSでの発信の他に「大使館ツアー」も開催され、留学に興味を持つ若者が40人程度参加し、各国の大使館を訪れる体験が行われている。

トビタテ!留学JAPANが後押し、中高生向け「大使館ツアー」留学意欲を高める仕掛け

X(旧Twitter)やインスタグラムといったSNSで、リアルな海外の様子などを発信している「#せかい部」。文部科学省が主導する留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の高校生向け海外関心喚起プロジェクトとして運営されているもので、公式HPでは「海外に興味がある高校生による、高校生のためのソーシャル部活動」と説明されている。例年人気を集めている「大使館ツアー」は今年も開催予定だ。この事業の担当者に、これまでの取り組みなどについて聞いた。

「『#せかい部』の運営メンバーは中学3年生から高校3年生を対象に公募しています。留学など海外経験があるメンバーも多く、インフルエンサーのような側面もあるのでしょう。現役メンバーに憧れて多くの若い人が応募してくれます。募集は年に3回ほど行っていますが、ここ3年は倍率が10倍を下回ったことはありません」

こう語るのは、文部科学省で「トビタテ!留学JAPAN」の広報・マーケティングを担当する西川朋子氏だ。「トビタテ!留学JAPAN」啓発プロジェクトの一環として、「ソーシャル部活動」である#せかい部の取り組みが始まったのは2018年から。新メンバーの選考は書類審査と面接で行われるが、西川氏は「立ち会いはしますが口出しはしません」とのこと。

基本的には現役の中高生メンバーが主導して、より適性とやる気のある候補者を選んでいる。家族の都合で海外に住んでいたり、すでに留学中だったりするメンバーもいれば、これから留学しようと勉強中のメンバーもいる。世界各地の生活の写真や語学のモチベーション、今興味を持っていることなどを、10代の感性で思い思いにアップしてもらうのだ。

#せかい部ではSNSでの発信のほか、参加者公募型の大使館ツアーも行っている。初開催となった2019年には、イタリア大使館をメインに訪問。翌年から2年間はコロナ禍で実施できなかったが、2022年はスウェーデン大使館へ。2023年にはその人気から年に2回の開催となり、5月にカナダ大使館、8月にエジプト大使館を訪ねた。

「どの国の大使館に行くかは、大使館担当者との交渉次第の部分もありますが、#せかい部メンバーの声も取り入れています。例えば昨年の夏にエジプト大使館を選んだのは、運営メンバーの中に高校でアラビア語を学ぶ生徒がいたからです。本人が興味を持って企画書まで用意してきたので、私たち大人はそれに動かされた形になりました」

大使館ツアーの定員は受け入れ先によっても異なるが、おおよそ40人程度だ。対象年齢は運営メンバーと同じく、中3から高校生まで。ほかにもオンラインでさまざまなイベントを開催しているが、このツアーはとくに人気があり、早々に満員御礼で埋まってしまうという。西川氏に参加者の傾向を聞いた。

「ある程度明確な意思を持っている方なら、『将来は外交官になりたい』『国際交流に興味があるから』とか、あるいは『関心のある国の大使館なので参加した』という方もいます。一方で『その国について何も知らないから見てみたかった』という気軽な理由の方も少なくありません。これまでのツアーはすべて東京の大使館で行っていますが、遠いところでは長野県や岩手県、熊本県や大分県などからの参加者もいます」