地震のプロが「高齢者こそ地震保険加入を」と語る「納得の理由」

AI要約

2011年3月11日に起きた東日本大震災を境に、日本での防災意識が問われている。異例の多発災害を経て、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの未来の地震リスクに対して準備が必要であることが強調されている。

10刷ベストセラー『首都防衛』では、最悪の被害想定や防災対策が詳細に記されており、重要な情報が1冊にまとめられている。

防災意識を持つためには、現役自衛隊幹部や建築士、教授の視点から得られるヒントがあり、自分の生活や住環境に対してどのような対策を取ればよいかを示唆している。

地震のプロが「高齢者こそ地震保険加入を」と語る「納得の理由」

 2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。

 しかしながら、これから起きうる大きな自然災害(首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火)について本当の意味で防災意識を持っている人はどれほどいるだろうか。

 もはや誰もが大地震から逃れられない時代、10刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。

 (※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)

 ポイント:リーダーの心得

拓殖大学の番匠幸一郎客員教授(元陸上自衛隊西部方面総監)

 現役時代、朝の歯磨きタイムは「今日、自分に起きる最悪のこと」をイメージしていた。尖閣諸島が攻撃されたら、ミサイルが飛んで来たら、巨大災害が発生したら、自分はどう指揮するかを頭の中で巡らせた。想定外のことが起こらぬようすべて想定する。

 大切にしている言葉は「prepare for the worst and hope for the best.」。起きる前は最悪を想定して抜かりなくすべて準備する。起きてしまったら右往左往せず最善を信じて意思決定をする。

 災害派遣の場合は「牛刀主義」で部隊を投入し、結果的には空振りでよい。人命救助が最優先であることを明確にして部隊を動かすことで、チームに気持ちを共にする一体感も生まれる。

 ポイント:今風「自立住宅」

名古屋大学の福和伸夫名誉教授(構造一級建築士)

 ライフラインが途絶しても生活が継続できる今風の「自立住宅」に住む。首都直下地震が襲来したとき、東京都内で暮らす娘も受け入れられる。

 自宅の耐震化はもちろん、屋根の太陽光パネルやエネファームでエネルギーを生み、ハイブリッド車や蓄電池で電気をためる。畑で野菜を作り、井戸も掘った。何が起きても自給自足できるよう備えている。

 ポイント:高齢者こそ地震保険

東京都立大学の中林一樹名誉教授(東京都防災会議専門委員)

 地震保険は単独契約できず火災保険に付帯する。保険金は掛け捨てで高いのだが、毎年どこかで災害に襲われている被災者への「義援金」の先払いであると考えることにしている。

 今日は助ける側でも、次は助けられる側になるかもしれない。被災者生活再建支援法では、持ち家全壊で基礎支援金100万円に加えて、住宅再建時に200万円の加算支給がある。地震保険金の支払いを足せば約1000万円をこえる大きな住宅再建の頭金になる。

 自宅を失うと、災害救助法ですべて支援される避難所生活になるが、その後の仮設住宅での生活になると、家賃以外の光熱水費をはじめすべての生活費が自前になる。貯金を取り崩せば、住宅再建のローンが組みにくい高齢者にとって、地震保険の加入は個人の事前復興対策ともいえる大きな備えになる。

 つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。