相手の話を奪って「すぐ自分の話をする人」に共通する“超ざんねんな特徴”

AI要約

7月中旬まで祝日がなく、天気もぐずつく日が増えるこの時期は、ストレスがたまりやすい。新年度からの仕事に慣れず悩んだり、職場の人間関係がうまくいかず憂鬱な気持ちになる人もいる。しかし、アドバイスを求められていないことや、自分の話ばかりすることが相手によくない印象を与えることなど、相手の立場を考えた賢いコミュニケーションが大切である。

『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉さんと、『「言葉にできる」は武器になる』の著者・梅田悟司さんの対談から、「何かできることある?」と相手に尋ねること、自分の話ばかりしないこと、相手を尊重して一緒に考える姿勢が大切であることがわかる。

相手の立場や感情を考えつつ、相談者の背中を押す姿勢や、相手のためになるコミュニケーションを心がけることで、周りから信頼を得て相談される存在になれる。

相手の話を奪って「すぐ自分の話をする人」に共通する“超ざんねんな特徴”

 7月中旬まで祝日がなく、天気もぐずつく日が増えるこの時期は、何かとストレスがたまりやすい。新年度からの仕事に慣れなかったり、職場の人間関係がうまくいかなかったりして、「会社に行くのが憂鬱だなあ」と思っている人もいるかもしれない。しかし、悩みを一つひとつ解決していけば、意外にスッキリと心が晴れていくものだ。

そこで今回は、2023年ベストセラーランキングビジネス書部門で1位(日販/トーハン調べ)となり、「もっと早く読んでいればと後悔すらした」「ぶっ刺さりすぎて声出た」と反響を呼び続けている『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉さんと、『「言葉にできる」は武器になる』の著者・梅田悟司さんに、相手から好かれる「賢い話し方」について聞いてみた。(構成/根本隼)

● 実は、アドバイスはそんなに求められていない

 Q. 周りの人へのアドバイスが「ただのおせっかい」だと受け取られそうで不安です。本当に周りを手助けしたいのですが、おせっかいだと思われない「実りのあるアドバイス」をするにはどうすればいいですか?

 安達裕哉(以下、安達) 率直に言ってしまうと、そもそも「アドバイスはそんなに求められていない」というのが現実だと思います。

 梅田悟司(以下、梅田) 僕も同感です。なので、多くの場合は「アドバイスをしない」のが正解かもしれません。

 安達 というのも、基本的に人間は、自分の意思で決めたことしかやろうとしないからです。外からアドバイスをされても聞き流すことが多いですし、それが活用されることはほとんどありません。

 梅田 助けを求めていない人に、「こうしたらいいんじゃない?」と言っても全然効果がないでしょうね。

 安達 それがまさに、アドバイスが“裏目”に出て「おせっかいだな」と思われる瞬間ですね。もし周りを手助けしたいのであれば、まず最初に「何かできることある?」と相手に尋ねるのがベストです。

 そうすれば、アドバイスを求めていない人は「いや、大丈夫です」と答えるでしょうし、何か困っている人であれば「ありがとうございます。実は…」と話し始めるはずです。

 梅田 その問いかけはグッドアイデアだと思います。

 聞かれてもいないことについてアドバイスすると、そんなつもりは全くなくても、どうしても「上から目線」だと受け取られてしまう。なので、相手が助けを求めているのかどうか、先に確認するのが得策ですね。

● すぐ自分の話をする人は「相手のため」を考えていない

 安達 世間のイメージと違うかもしれませんが、実はコンサルタントも、アドバイスや提案をしてはいけません。「こうすればいいんじゃないですか?」と言ってはいけない。

 相手の話をひと通り聞いたうえで、「うちがお手伝いできることは何かありますか?」と尋ねるのが正解なんです。

 梅田 なるほど、それは奥が深い。クライアント側も話していくうちに頭が整理されて、「お手伝いできることはありますか?」と聞かれた時点では、「これをお願いしようかな」と何かしらアイデアが浮かんでいそうですね。

 安達 それが理想の形ですね。仕事の場面にかぎらず会話全般において、①簡単にアドバイスしない、②意見を言わない、③とにかく相手に話してもらう、ことが大事です。

 拙著『頭のいい人が話す前に考えていること』でも、「話す前に“本当に相手のためになるのか?”と立ち止まることで、知識を披露したいだけ、ただ言いたいだけの自分に気づくことができる」と書きました。 

 人間は自分の話ばかりして、過去の経験や知識をベラベラと披露している人に、知性を感じません。相手の話を奪ってすぐ自分の話をする人がいますが、これは「相手のためになるか」を考えずに喋っている典型例です。

 また、目の前の相手に知識を直接与えるよりも「一緒に考えて、自力で気づいてもらい、背中を押す」というやり方のほうが有効な場合もあります。

 自分が言いたいことではなく、「相手のため」になることをちゃんと考えて話す癖をつけると、周りから「この人に相談しよう」とアドバイスを求められる存在になるのではないでしょうか。

 (本稿は、『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉さんの対談記事です)

安達裕哉(あだち・ゆうや)

Books&Apps運営、企業コンサルティング

Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。仕事、マネジメントに関するメディア『Books&Apps』を運営する一方で、企業の現場でコンサルティング活動を行う。著書に、2023年ベストセラーランキングビジネス書部門で1位(日販/トーハン調べ)となった『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)など。