大河や映画話題「安倍晴明」伝説と現実のギャップ 数々の作品、令和の今でもファンが多い背景
陰陽師・安倍晴明のエピソードについて紹介します。晴明の父は安倍保名であり、先祖は阿倍仲麻呂とされています。仲麻呂は玄宗皇帝に重用されたが、日本への帰国を果たせず、『物語』では鬼として描かれています。
仲麻呂の助力により、遣唐使の吉備真備は玄宗皇帝からの難題を乗り越え、無事に日本に帰国することができた。真備は宝物として『金烏玉兎集』という陰陽道の秘伝書を受け取った。
陰陽師として知られる晴明は、921年に生まれ、江戸時代初期の仮名草子『安倍晴明物語』の主人公としても描かれている。
今年の大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部が主人公。主役を吉高由里子さんが務めています。今回は大河ドラマや、最新映画『陰陽師0』にも登場する、陰陽師・安倍晴明のエピソードを紹介します。
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■山﨑賢人主演「陰陽師0」が公開
陰陽師・安倍晴明という名前は、日本史にあまり興味がない人でも、1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
陰陽師や、晴明の名を一段と高めたのが、2001年公開の映画『陰陽師』(主演・野村萬斎さん)だったと記憶しています(映画の原作は、作家・夢枕獏氏の小説『陰陽師』、同時期に稲垣吾郎さん主演でドラマ化もされています)。
そして2024年4月には、山﨑賢人さん主演の映画『陰陽師0』の公開が始まりました。昔から令和の現代まで、ドラマや小説で描かれてきた晴明ですが、はたして、どのような人物だったのでしょうか。
晴明は、延喜21年(921)に生まれたと言われています。藤原道長は康保3年(966)の生まれなので、晴明のほうが45歳も年上ということになります。
晴明は、江戸時代初期の仮名草子(物語)『安倍晴明物語』(以下、『物語』と略記)の主人公としても描かれています。
それによると、晴明の父は安倍保名であり、先祖は阿倍仲麻呂とされています。仲麻呂は、遣唐使の留学生として唐国に渡り、玄宗皇帝に重用されたことで、日本への帰国を果たせなかった人物として有名です。
この『物語』では、仲麻呂は玄宗皇帝と対立し、幽閉され、断食したことで、亡くなります。そして仲麻呂は死後、鬼になったといいます。
仲麻呂が亡くなった翌年には、吉備真備が遣唐使として唐に入りますが、玄宗皇帝から難題を課された真備を、「鬼」の仲麻呂が助けることになるのです。
仲麻呂の助力により、真備は無事に日本に帰ることができました。玄宗皇帝から多くの宝物を賜った真備。宝物の1つに『金烏玉兎集』という書物が含まれていました。これは、陰陽道の秘伝書です。