テレビ朝日制作のテレメンタリー2023『彷徨い続ける同胞』が「World Media Festivals」ドキュメンタリー部門で銀賞受賞

AI要約

テレビ朝日制作のテレメンタリー2023『彷徨い続ける同胞』が、第25回World Media Festivalsのドキュメンタリー部門で銀賞を受賞。

番組では、フィリピンに残留した日本人2世の困難な現状が描かれ、日本国籍の回復を求める姿が追跡される。

演出・プロデューサーの浦本勳は、番組を通じてこの問題を広く伝えていきたいと述べた。

テレビ朝日制作のテレメンタリー2023『彷徨い続ける同胞』が「World Media Festivals」ドキュメンタリー部門で銀賞受賞

 昨年8月5日に放送された、テレビ朝日制作のテレメンタリー2023『彷徨い続ける同胞』が、第25回「World Media Festivals」のドキュメンタリー部門で銀賞を受賞。演出・プロデューサーの浦本勳(テレビ朝日)からコメントから到着した。

 テレビ朝日系列の全国24社が共同で制作するドキュメンタリーで、週替わりでテレビ朝日系列の各局が制作を担当し、独自の視点で制作している『テレメンタリー』。その中で、昨年8月5日放送のテレメンタリー2023『彷徨い続ける同胞』が、ドイツ・ハンブルクで開催された第25回「World Media Festivals」のドキュメンタリー部門で、最高賞である金賞に次ぐ銀賞を受賞した。

「World Media Festivals」は2000年からドイツで開催されているテレビ、企業広告等の優れたコンテンツを表彰するヨーロッパ最大規模の映像コンクールで、『彷徨い続ける同胞』は32の国と地域、844作品の中から選ばれての銀賞受賞となった。

 フィリピンには戦前、多くの日本人が移り住み、麻の栽培などに携わっていた。現地のフィリピン人女性と結婚し家族を作る人も多く、最盛期の日系人コミュニティーは3万人に。しかし、日米の開戦とともに、現地で暮らしていた邦人は日本軍への戦争協力を強いられた。当時14歳だった寺岡カルロスさんは母と弟、妹を米軍の攻撃で亡くし、長兄は日本軍にスパイ容疑をかけられ銃殺、次兄はフィリピンゲリラに殺された。

 さらに、戦後も残留日本人2世はさらなる苦難が続く。激しい反日感情が続く中、身を潜めて暮らすばかりか、当時のフィリピンは父親の国籍に属すると定められていたため「無国籍」として生きることになってしまったのだ。

 長きにわたり知られることがなかった実態だが、高齢となった2世たちが「日本国籍の回復」を求め、声を上げ始めた。ところが戦火で書類が消失しているなど、親子関係などの証拠をそろえるのは困難な状況が続いている。

 そういった中、姉と2人、小さな離島で日本国籍の回復を待ち続けるモリネさん姉妹に進展が。父親が沖縄からフィリピンに渡航した記録を発見し、本籍地が判明したのだ。親類や知人にたどりつき証言を得られれば、日本の裁判所に国籍取得を申請する上での大きな証拠のひとつになる。そこで、番組は沖縄へと向かった。

 今回の受賞に当たり、演出・プロデューサーの浦本勳は「放送後、親類や知人かもしれないという情報提供や、国がすぐに救済すべきだという多くの声を頂きました。『無国籍』の残留日本人2世の多くは80代から90代。残された時間はそう多くありません。一人でも多くの方が日本国籍を回復できる一助となれるよう、引き続きこの問題を伝えていきたいと思います」と語った。