「自動運転 = 最新技術」と思いきや、無人バスが30年以上も運行される国があった!

AI要約

自動運転によるモビリティ社会の実現が現実味を帯びてきている。米国や中国では無人配車サービスが本格化し、交通事故の減少などに期待が高まっている。

日本では政府主導で2027年までに100か所で自動運転サービスを実施する政策が進行中。また、オランダでは既に30年以上前から自動運転技術を使ったシャトルバスが商用運行されている。

オランダの自動運転シャトルの事例を紹介。地下鉄とビジネスパークを結ぶ路線で運行されており、磁気コイルを使った技術やシャトルの仕組みについて詳細が説明されている。

「自動運転 = 最新技術」と思いきや、無人バスが30年以上も運行される国があった!

 自動運転によるモビリティ社会の実現は、もはや夢物語ではない。近年、米国や中国で無人配車サービスが本格的に始まり、現実のものとなりつつある。

 米国では毎年4万人以上が交通事故で命を落としており、中国では10万人を超えるといわれている。交通事故の多くはドライバーのヒューマンエラーによるものだ。悲惨な交通事故を世界からなくすために、自動車大国での自動運転に期待が寄せられている。

 日本では、2027年までに100か所で自動運転サービスを実施するという政策目標を掲げ、政府主導の取り組みが本格化している。地方都市におけるドライバー不足の解決策として、福井県の永平寺で日本初の無人自動運転サービスを皮切りに、第2東名での貨物車の自動運転も2024年から開始するといわれている。

 世間では自動運転は最近の技術だと思われているようだが、オランダでは30年以上前から自動運転技術を使ったシャトルバスが公道で商用運行されていることはあまり知られていない。

 オランダの港湾都市ロッテルダム、中心市街地から東へ4kmほどのエリアにビジネスパーク・リヴィウムが広がっており、地下鉄からビジネスパークを縦断する形で約1.8kmの区間に無人の自動運転シャトル「パークシャトル」が運行されている。

 日本でもよくいわれるラストワンマイルの区間に対して、24人乗りの小型のシャトルが最適な輸送サービスとして選定され、当初自転車道として計画されていた公道空間を活用して実運用に至っている。システムはすでに第3世代にまでアップデートしているそうだ。

 初代は1999年から2年間、10人乗りの車両を用いて1.2kmの区間にて運行実験が行われた。実験での成果を踏まえ、2001年には第2世代として本格運行が始まり、2006年には新型の車両、24人乗りのパークシャトルIIとして、6台の車両を用いて1.8kmの区間を完全無人のシャトル運行している。

 地下鉄の駅を降りると、シャトルバス乗り場が隣接しており、幅員3~4mという狭い走行空間は、高度な運行制御が可能な自動運転技術ならではだ。途中高速道路を越える専用橋も新設され、この区間のみ交互運行となる。路面には50cm間隔で磁気コイルが埋め込まれ、車両はこの磁気コイルで運行の制御を行うといった、極めて簡素で確立された技術を援用したものだ。自動運転の専用道路と一般の道路が交錯する踏切もあり、マイカーよりも自動運転が優先される交差点も特徴的だ。

 利用方法はいたって単純、簡単だ。停留所の存在を示すポールには、車両を呼ぶボタンがあり、ボタンを押すと車両が自動でやって来る。車両が到着したら、交通系IC用のリーダーに地域の公共交通で利用するICカードをタッチして乗車する。

 車両内には目的地5駅の表示ボタンがあり、降車したい停留所のボタンを押す。ボタンが押された後、シャトルは目的地の停留所に向かって自動で走りだす。とてもシンプルかつスマートな仕組みとなっており、初めての人でも迷うことなく移動ができるようにデザインされており、まさに利用者視点に立ったモビリティ・デザインが実現している。