【年金受給問題】必ずしも「繰下げ受給がお得」とは限らない!?受け取れなくなる年金があるって本当?

AI要約

年金の繰下げ受給を利用することで将来の受給額を増やすことができます。

しかし、繰下げ受給を選択すると加給年金や振替加算が受け取れなくなる場合があるため、注意が必要です。

例えば、繰下げ受給で加給年金を受け取れなくなる場合、最大で数百万円の受給が遅れる可能性もあることを理解しておくべきです。

【年金受給問題】必ずしも「繰下げ受給がお得」とは限らない!?受け取れなくなる年金があるって本当?

将来受け取る年金額を増やすために、年金の繰下げ受給を選択する方もいます。

繰下げ受給を利用すれば、繰下げた期間によって増えた金額を受け取れるメリットがあります。

ただし、人によっては繰下げ受給を選択することで、本来は受け取れるはずだった年金を受け取れなくなるケースがあるため、よく確認しておきましょう。

また、年金の種類によっては、繰下げ受給ができない場合もあるため注意が必要です。

今回は、年金の繰下げ受給の概要や、繰下げ受給により影響を受ける可能性がある年金などについてご紹介します。

年金の繰下げ受給は、本来の受給開始年齢である65歳よりもあとに、老齢年金の受給開始時期をずらすことです。

遅らせた期間に応じて、1ヶ月につき0.7%受給額を増やせます。

最長で75歳まで遅らせると、84%増額した年金額を受給可能のようです。

ただし、65歳以降も会社で働いて厚生年金保険に加入していたり、70歳以降に厚生年金が適用される事業所で働いていたりした期間で、在職老齢年金制度により支給停止された金額は増額されません。

65歳以降も働いている方は、収入によって老齢厚生年金の全額が繰り下げによる増額対象とならない可能性があることも把握しておきましょう。

繰下げ受給は、受け取れる老齢年金額を増やせる制度ですが、老齢年金にかかわるすべての金額が増額されるわけではありません。

受給を繰下げることで以下の2種類の年金は受け取れなくなるため、注意しましょう。

●加給年金

●振替加算

■加給年金と振替加算

加給年金は、厚生年金保険に20年以上加入していた方が65歳に達したときに、養っている65歳未満の配偶者や18歳に達する年度内の子どもがいる方が対象です。

なお、子どもが障害等級1級か2級に該当するケースでは、20歳未満が条件となります。

加給年金は、条件に該当しなくなった時点で支給停止されます。

振替加算は、年齢制限により配偶者が加給年金を受け取れなくなった際に、誕生年月日などが一定条件を満たしていると老齢年金に加算されるお金です。

国民年金が任意加入であったときの影響で、加入期間がなかったり、短かったりすることにより、老齢基礎年金がほとんど受け取れない方に対する救済措置として作られました。

日本年金機構の「加給年金額と振替加算」によると、加給年金および振替加算はともに繰下げ受給による増額の対象外のようです。

さらに、繰下げ期間中は加給年金と振替加算は受け取れません。

そのため、繰下げ受給の選択により加給年金の年齢制限を超え、老齢年金を受給開始したタイミングで受け取れなくなっている可能性があります。

振替加算も、加給年金を受け取っていた方が対象のため、このケースだと受け取れなくなります。

■いくら受け取れなくなる?

例えば、以下の条件に該当する方が5年間繰下げ受給を選択したときに、受け取れなくなる金額を計算してみました。

●夫が65歳の時点で妻は60歳

●夫の誕生日は昭和18年4月2日以降

●妻の誕生日は昭和40年4月2日~昭和41年4月1日

●子どもはいない

まず、通常通りに夫が年金を受け取れば、5年間は加給年金の対象となります。

金額は配偶者分の23万4800円に特別加算額17万3300円を加えた年額40万8100円です。

しかし、繰下げることで加給年金がなくなるため、合計で204万500円損をする計算になります。

さらに、加給年金が受け取れなくなったことで振替加算も消失するので、妻が65歳になってから受け取れるはずだった年額1万5732円も受け取れません。