異動でプライドがズタズタに傷つき…「高学歴だけど仕事ができない人」のまさかの末路

AI要約

金融機関で融資課から定型業務部署に異動させられた男性のストーリー。

男性のプライドやキャリアに対する考え方、周囲への態度の変化。

金融機関の部署異動や業務方針に関する背景。

異動でプライドがズタズタに傷つき…「高学歴だけど仕事ができない人」のまさかの末路

 根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち5刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

 私が定期的にカウンセリングを行っている金融機関で、いつも相手を見下し、こなせる案件の数があまりにも少なかった結果、契約書を作成する部署へ異動した20代男性がいる。

 本人にとってこの異動はかなり不本意だったらしい。というのも、金融機関では一般に判断を伴う判断業務のほうが判断を伴わない定型業務よりも高く評価される傾向があるからだ。

 とくに融資課は花形であり、そこで成果を出して認められたいという願望が強かったのか、定型業務部署への異動を左遷のように感じたらしい。しかも、融資課には正社員の男性が多いが、異動先の部署にはパートタイマーや契約社員の女性が多いことも、彼のプライドを傷つける一因になったようだ。

 そもそも、この金融機関では、判断を伴わない定型業務は、できるだけ非正規社員に担当させるという流れになりつつある。正社員は、顧客対応及び判断を伴う審査や営業などの業務に従事させる、つまりできるだけ利ざやを稼げる仕事をやらせる方針のようだ。とはいえ、この男性は顧客対応が苦手なので、営業職に就かせる選択肢は、はなから考えられなかったという。

 このような経緯を経て異動した男性は、冒頭で紹介したような言葉を吐いて、周囲を見下すようになった。それだけではない。「ただ書類を作るだけの単純作業には喜びもやりがいも感じられないんです。パートのおばちゃんでもできるような仕事をするためにここに入ったんじゃありません。異動させられて、僕はキャリアをつぶされました」と支店長に訴え、元の融資課に戻してくれるよう直談判したのである。