水平対向エンジンのフルハイブリッドが登場! スバルの電動化戦略が見えてきた

AI要約

スバルが新たな経営方針を発表し、2026年までにトヨタと共同で4車種のBEVを生産することを決定した。また、2028年までに自社開発のBEVを投入する予定である。

スバルは2024年中に新型のHEV車を発売し、今後もICE車の強化を計画している。その中で2030年にはBEVとHEVが販売比率50%ずつとし、柔軟なビジネス体制を整えている。

しかし、2030年の全世界販売目標にはICE車の製造可能性も考慮されており、柔軟な対応が伺える。

水平対向エンジンのフルハイブリッドが登場! スバルの電動化戦略が見えてきた

2023年8月に発表されたスバルの「新経営体制における方針」が2024年5月13日にアップデートされた。

それによれば、2026年末までにラインナップする4車種の電気自動車(BEV)はトヨタと共同開発することが決定。スバルの矢島工場で生産するBEVはトヨタにも供給され、反対にトヨタの米国工場で生産されるBEVはスバルに供給される。そしてこのアライアンスの知見を生かした「自社開発のBEV」は、2028年末までの投入を見込んでいる。

また、トヨタのハイブリッドシステム「THS」をベースとした水平対向エンジンのストロングハイブリッド「次世代e-BOXER」を搭載する新型「フォレスター」が、2024年度中にも発売される。このストロングハイブリッドは「クロストレック」にも積まれる。そしてその他の内燃機関(ICE)系商品ラインナップの強化については「今後適宜発信する」としている。

以上が、5月13日に発表された「新経営体制における方針」のアップデート版における大まかな内容だ。これと前年8月の「新経営体制における方針」をベースに、ここで今後のスバルの電動化戦略を分析というか、予想する。

今回の発表に対する総論的な印象は「先行きを見通すことが難しいタイミングゆえ、スバルは取りあえず手持ちのカードをそろえることで、今後の世の中がどう転んでも柔軟に対応できるようにしてきたな」というものである。

まずは現在と近い将来においては確実に主力となるストロングハイブリッド車(HEV)というカードを手に入れる。そのうえで直近のタイミングで登場させるBEVにおいては、開発と供給においてトヨタと協業することでリスクを低減し、ビジネスに柔軟性を持たせる。そして自社開発のBEVに注力すると同時にICEにも含みを持たせ、前述したとおり「今後の世の中がどう転んでも柔軟に対応できる(はず)」という体制を組んできたのだ。

今回のアップデート版ではなく、2023年8月に発表された「新経営体制における方針」に掲載された棒グラフを素直な心で眺めると、スバルの2030年における電動車の販売比率目標は「BEVが50%で残る50%がHEV」と読むことができる。つまり2030年にはスバルの純ICE車は廃止され、BEVとHEVだけのメーカーになるということだが、筆者はこのグラフをそうは読まない。なぜならば、この棒グラフの右端部分は「2030年全世界販売台数120万台+α」という文字が入った円形の表示にて、巧妙に隠されているからだ。

まぁ「巧妙に隠されている」というと人聞きは悪いが、要するに含みを持たせているというか、「2030年も状況次第では普通にICEの新車をつくっている可能性はあります」ということを、このグラフの制作者は心の中で言っているのだ。それが証拠に、2023年8月の発表と今回のアップデートのなかで「スバルのICE車は20XX年に製造を終える予定です」的な文言は確認できない。すでに述べたとおり「今後の世の中がどう転んでも柔軟に対応できるようにする」というのが、今回および昨年の発表の本質なのだ。