生成AIで「仕事」が根底から変わる SDGsのカギ 複雑な社内文書活用支援のシナモン会長に聞く

AI要約

AIを活用して業務効率化を進める動きが広がる中、AI開発のスタートアップ、シナモンはAIで業務を効率化しながら創造的な仕事を加速する取り組みを行っている。

シナモンは自然言語処理やAI-OCRを使い、生成AIのサービスを展開しており、製造業や物流など幅広い業種で導入が進んでいる。

生成AIの普及により、事務処理の業務効率化が進む一方で、人間が行う仕事の性質も変化していく傾向が世界的に広がっている。

生成AIで「仕事」が根底から変わる SDGsのカギ 複雑な社内文書活用支援のシナモン会長に聞く

生成AI(人工知能)を活用して業務効率化を進める動きが企業に広がっている。請求書や注文書といった不定形な文書の読み取りや要点の抽出、社内に蓄積された知見や情報と生成AIを結びつける「RAG(検索拡張生成)」という先端技術を使ったサービスを手掛けるAI開発のスタートアップ、シナモン(東京・港)は、AIで業務を効率化しながら、創造的な仕事を加速させることを目指している。同社会長兼CSDO(チーフ・サステナビリティー・ディベロップメント・オフィサー)の加治慶光氏に生成AIの可能性や、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて先端テクノロジーが果たす役割について聞いた。

――シナモン創業の経緯を教えてください。

「創業した2016年当時、国内では過労死や働き方が大きな社会課題になっていました。シナモンの平野未来共同最高経営責任者(Co-CEO)が第1子を出産したタイミングに重なり、『こんな働き方を未来に残さない』という思いが原点となり、AIで生産性を向上させる事業を進めてきました」

「ベトナムにラボがあることも日本のAIスタートアップとして特徴的です。平野Co-CEOが起業のヒントを探すためにアジア各国を訪ねていた時に、ベトナムには数学に秀でた人が多いことに気付きました。現地に開発拠点を設け、現在100人を超えるAIの高度人材を抱えています。ベトナムの人気就職先企業に当社がランクインするようになっているんです」

――シナモンのAI技術はどんな場面で使われていますか。

「自然言語処理(NLP)やAI-OCR(人工知能による光学式文字読み取り機能)に加え、生成AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に社内文書などの情報の検索を組み合わせて回答精度を向上させるRAGのサービスに注力しています。製造業や物流といった幅広い業種で導入が進んでいるところです」

「例えば工場に蓄積されたヒヤリハットの報告書から情報を抽出し、その日の作業に関係する事故労災などの危険を予知するシステムを構築したケースなどがあります。生成AIが普及し、事務処理の業務効率化が進むにつれて、人間が行う仕事の性質そのものが変化していく動きは世界で広がっています」