富士24時間、トヨタは液体水素カローラの航続距離を1.5倍に ポンプも改良し計画停止も廃止して24時間完走を目指す

AI要約

スーパー耐久富士24時間レースに参戦する液体水素カローラが大幅にアップデートされた。

液体水素ポンプの改良により計画停止の廃止や航続距離の向上が実現され、24時間無交換でのレース参戦を目指す。

さらにCO2吸着フィルターの自動化や液体水素タンクの容量拡大など、強力なアップデートが施されており、総合順位向上に期待がかかる。

富士24時間、トヨタは液体水素カローラの航続距離を1.5倍に ポンプも改良し計画停止も廃止して24時間完走を目指す

■ 液体水素カローラを大幅にアップデート

 スーパー耐久富士24時間レースが5月24日~26日の3日間にわたって富士スピードウェイで開催されている。トヨタ自動車は、このスーパー耐久に投入している液体水素カローラを大幅にアップデート。2023年の富士24時間レースでネックとなっていた航続距離の改善や、計画停止の廃止など、多くの改善を盛り込んできた。

 とくに2023年の富士24時間で実施し、レース周回数向上の妨げとなっていた計画停止については、液体水素ポンプを改良。前回は液体水素ポンプの動作耐久性が8時間であったため、24時間レース中に2回交換(3本のポンプを使用)が必要だった。液体水素タンクからポンプを抜くために水素を抜く必要があるため、交換に4時間(1回目)と3時間(2回目)かかっており、単純計算で7時間はポンプ交換のために止まっていたことになる。

 今回は、ポンプの耐久性を向上。24時間無交換でのレース参戦に挑戦する。具体的には、これまでモーターで片側から回していたピストンタイプのポンプにギヤセットを取り付け、両側からトルクをかけて回すタイプへと変更。トヨタはこれをDual-Drive(デュアルドライブ)と名付け、安定した動作を実現し、事前のテストでは24時間以上の耐久性を確認している。過酷なレースフィールドにポンプを投入することで、課題出しを行なっていく。

 また、液体水素タンクについては、従来の円柱形から異形(楕円形)へと改良。2023年の戦いで得た知見に基づき、安全性を確認しつつ容量を1.5倍とした。

 液体水素カローラは、2022年の富士24時間参戦時は70MPaの高圧気体水素で180L/7.3kgを搭載。富士スピードウェイの周回数約12周(約54km)を走行できていた。2023年は、気体水素を液体水素とすることでタンク容量を150L/10kg搭載のものとした。これで気体に比べ約1.7倍の航続距離、富士スピードウェイを約20周/約90km走れるようになった。

■ 強力なアップデートとなったことで、総合順位にも期待

 2024年はこの液体水素タンクを前述のように1.5倍にしたことで、容量は220L/15kgとなり、富士スピードウェイの周回数では約30周、約135kmの航続距離を実現した。

 また、2023年の最終戦で投入されたCO2吸着フィルターによるCO2回収装置は、フィルターを手で交換してCO2分離・回収するタイプから、自動でCO2吸着・分離・回収できるものへと改良。CO2吸着フィルターを円盤状のものとすることで自働化した。

 この32号車で24時間レースに挑むのは、MORIZO/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康宏/近藤真彦/ヤリ=マティ・ラトバラ選手といった面々。燃料タンク容量が1.5倍に伸びて30周となった航続距離、24時間無交換を目指すポンプを武器に、富士24時間に挑んでいく。