親を扶養に入れるか検討するとき ~税金の扶養と健康保険の扶養はどう違う?~

AI要約

親を扶養に入れる場合、税金計算上の扶養と健康保険の扶養の2つが考えられる。

税金計算上の扶養では、所得税の控除額が増えて税額が軽減される。健康保険の扶養では会社員と個人事業主で考え方が異なる。

注意点として、健康保険で親を扶養する場合は高額療養費制度の自己負担額が増える可能性がある。

親を扶養に入れるか検討するとき ~税金の扶養と健康保険の扶養はどう違う?~

親とは別に暮らしていたけれど、父親が亡くなって母親が一人暮らしになったとき、母親を扶養に入れて経済的な援助をしようかと考える方もいらっしゃるでしょう。親を扶養に入れる場合、「税金計算上の扶養」と「健康保険の扶養」の2種類が考えられます。そこで本記事では、それぞれの効果や適用要件の違い、扶養に入れるための手続きを解説します。

【税金計算上の扶養】

親を扶養に入れることで、所得税を計算する際の扶養控除の対象にできます。被扶養者となった親の年齢や、同居・別居の別によって控除される額は異なるので、わが家の場合はどうか、確認してみましょう。

図表1

控除額が増えれば課税所得が減るので、納める所得税額が安くなるのです。平均的な会社員であれば控除額に税率の10~23%をかけた額だけ、納めるべき所得税の額が減るでしょう。同様に、住民税においても納付額が減ります。

【健康保険の扶養】

健康保険の扶養は、会社員等が加入する健康保険と個人事業主等が加入する国民健康保険で考え方が異なるため、自分が加入している健康保険に合わせて検討しなければなりません。

会社員等が加入する健康保険の場合、保険料は世帯主1人の所得額で計算し、扶養家族が何人いても保険料は変わりません。したがって、老親を扶養に入れると、親は健康保険料を負担することなく健康保険に加入できます。ただし、親が75歳以上になると後期高齢者医療制度の対象になるので、健康保険料は別々に払わなければなりません。

一方、個人事業主等が加入する国民健康保険には、扶養という考え方がありません。保険料は同一世帯の家族の人数と所得合計額で計算されます。老親と子が同一世帯になれば、親本人は保険料を払わずに済みますが、世帯主である子が負担する保険料が増えてしまいます。

どちらの健康保険であっても、収入が少ない親を健康保険の扶養に入れる場合、注意しておかねばならないことがあります。もしも親が大きな病気をして入院治療することになった場合、高額療養費制度の自己負担額は健康保険の世帯の所得額で判断されるので、扶養に入ると医療費の負担額が高くなることが多いのです。親に持病がある場合など、特に慎重に検討しましょう。