東海理化、ドライバーの疲労を検知して自動運転を提案する「インテリジェントコックピットコンセプト 2024」人とくるまのテクノロジー展 2024 横浜で公開

AI要約

「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」が横浜市で開催中。東海理化ブースでは「インテリジェントコックピットコンセプト 2024」を進化させた展示が注目。

「天護風雷」は脱輪予兆検知システムで脱輪事故を防止。また、「UWB幼児置き去り検知システム」は幼児置き去りを検知して注意喚起。市販化に向けた取り組みも進められている。

さらに、BEV向けの電流センサモジュールの開発により、インホイールモーターの制御が可能となり、新たな技術への貢献が期待されている。

東海理化、ドライバーの疲労を検知して自動運転を提案する「インテリジェントコックピットコンセプト 2024」人とくるまのテクノロジー展 2024 横浜で公開

 神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」が5月22日~24日の会期で行なわれている。入場料は無料(登録制)。

 展示ホール・385にある東海理化ブースでは、2022年から人とくるまのテクノロジーに出展している「インテリジェントコックピット」を、2023年に続きさらに進化させて展示。車内に搭載する各種技術を体感できるようにしている。

■ 「インテリジェントコックピットコンセプト 2024」

「人をとらえ、意思を読み取り、人に応える世界」をコンセプトに開発された新たなインテリジェントコックピットコンセプト 2024は、インパネと運転席&助手席だけだった前回のハーフモックから、1台分の車両を用意するフルモックに進化していることも大きな特徴。

“人の気持ち”を察するため、ルーフトリムの中央に設置した「センシング機能付き車内撮影用カメラ」やステアリングに内蔵する心電センサーを活用。表情や心電波形からドライバーの感情や疲労度などを推定し、エアコンの風に乗せて気分をリフレッシュさせるアロマの演出を行なったり、車両側から自動運転に切り替えたりする提案などを行なう。

 また、心電センサーも備えるステアリングは、これまでも公開している異形のステアバイワイヤコントロールユニットを進化させて採用。左右のスポーク部分を静電タッチ式ディスプレイにした「スマートステアリングスイッチ」を搭載し、両手でステアリングを握ったまま、シフトチェンジや送られてきたメッセージへの返信、車両からの提案に対する返事など、多機能な操作を可能としている。

 これによって従来はインパネの各所にちりばめられていた操作や表示などのパネルをステアリングに集約して、シンプルですっきりとしたインテリアデザインを実現。一方でクルマの運転に必要不可欠なシフトセレクターだけは万が一のトラブル発生時に問題にならないよう、インパネ中央にスライド構造の「インストルメントパネル付シフトバイワイヤ」として並立させている。

 このほか車内の装備としては、自動運転中に背もたれを倒してリラックスするシーンを想定して、背もたれが倒れている状況で万が一の事故が発生したときにもシートベルトが乗員の体をしっかりと保持できるよう、Bピラー側のショルダーリトラクターに加え、シートの座面側に内蔵するラップリトラクターが状況に合わせて最適なベルト巻き取りを行なえる「分離ベルトシステム」を開発。インパネ中央に設置されている大型のセンターディスプレイも、背もたれが倒れていても手が届くよう、前後のロングスライドや角度調整を電動化している。

 意匠面ではオーバーヘッドコンソールによる「天井投影プロジェクター」、内側からの照明光で車内演出する「竹突板加飾パネル」、国産材の竹を熱可塑性プラスチックと1:1で混合したサステナブル素材「Bamboo+」による加飾パネルなどの提案を行なっている。

■ 脱輪予兆検知システム「天護風雷」

 大型トラックなどのホイールナットが緩んだことに起因する脱輪事故の撲滅を目指して開発された脱輪予兆検知システムが「天護風雷」。ホイールナットの上から「ナットキャップセンサー」を取り付けることで、走行中にタイヤの脱輪要因となるナットの緩みを加速度センサーが検出。車内に取り付けられる「受信機兼表示器」に特定省電力無線局を使って危険を知らせ、LEDの発光とブザー音でドライバーに注意喚起する。

■ UWB幼児置き去り検知システム

 コンパクトカー向けの後付け製品として開発が続けられている「UWB幼児置き去り検知システム」は、同社がスマートキー、デジタルキーの製品化で培ってきたUWB(Ultra Wide Band)通信を活用。車内に設置するUWBレーダーセンサーが内蔵する3個のアンテナを組み合わせて使い、車内にいる幼児が呼吸する胸部の上下動を検知。事前に登録したスマートフォンとBluetoothで通信を行ない、スマホが一定以上の距離から離れた場合に幼児が置き去りになっている可能性があると判定して注意喚起のメッセージをスマホに送信する。また、車両のシステムとの連携も可能として、車両のドアがロックされた場合も幼児の置き去りについて注意喚起する設定も用意していく。

 車両との連携では、保護者がコンビニなどでの買い物で「少しの時間だけだから」と意図的に車両を離れるようなケースではスマホ向けのメッセージだけでは不十分な場合も想定され、その対応として車両のハザードランプやホーンなどを使って周囲に幼児の置き去りを知らせることも検討しているという。

 将来的な発売時の価格は現時点で未定というものの、「2万円を超えてしまうと使ってもらえないだろう」と想定し、可能であれば1万円を切るような価格設定にする、もしくは後席の見守りカメラといった需要の大きい装備とセットにして販売するような手段も考え、市販化を目指して開発を続けていくとのことだ。

■ 電流センサモジュール

 磁気・熱解析、プレス、成形などで培ってきた技術を活用して生み出された「電流センサモジュール」は、BEV(バッテリ電気自動車)向けの要素技術開発を手がけるe-Gleのインホイールモーターで採用されている。

 e-Gleの次世代インホイールモーターはユニット内にインバーターまで組み込んでいることが大きな特徴だが、この影響でユニット内のスペースに余裕がなく、モーターに実際のところどれだけの電流が流れているかを検出し、トルクを制御する重要部品の電流センサーを配置することが困難になっていた。

 これを受け、東海理化ではインホイールモーターの限られたスペースに収まるコンパクトな電流センサモジュールを開発。革新的な機電一体型インホイールモーターの実現を後押ししている。