セル・イン・メイ封じる記録的自社株買い、日本株再浮上を促す可能性

AI要約

日本企業の自社株買いが過去最高ペースで推移し、相場格言「セル・イン・メイ」を封じて日本株を支えている。

自社株買いは株主還元策として注目され、企業の株主総会でアピール材料となる可能性がある。

企業統治の改革に伴い、自社株買いが増加しており、日本株を下支えする一因になっている。

(ブルームバーグ): 日本企業の自社株買いはここまで過去最高ペースで推移し、株式市場で古くから伝わる相場格言「セル・イン・メイ(5月に売れ)」を封じ、日本株を下支えしている。6月後半の株主総会に向け企業が一段と自社株買いを加速させれば、新たな相場の支援材料になる可能性がある。

JPモルガン証券の西原里江チーフ日本株ストラテジストらの分析によると、4月から5月15日までに東証株価指数(TOPIX)の構成企業が発表した自社株買いの総額は6兆3000億円と過去最高水準に膨らんだ。

日本株は3月にTOPIXが34年ぶりの高値、日経平均株価は史上最高値を付けた後、外国為替市場の行き過ぎた円安や金利上昇への警戒で調整していたが、4月下旬以降は持ち直している。相場を支えたのが決算と同時に発表が相次いだ自社株買いや増配などの株主還元策だ。21日現在、両指数の月初来騰落率は欧米や中国・香港を下回るが、プラス圏は維持している。

上場企業の多くは6月後半にかけて年次株主総会を開く。株主還元策が増えている背景にはアクティビスト(物言う株主)の活発な動きや東京証券取引所が昨春以降、資本効率と株価を意識した経営を企業に求めていることがあり、足元の自社株買いの増加は総会で経営陣がアピールする格好の材料になる。

過去最高の配当と自社株買い、調整寸前の日本株救う-業績失望も緩和

また、上場企業はコーポレートガバナンス(企業統治)の改革に取り組む姿勢を見せるため、株式の持ち合い解消を急いでいる。その際、株価へのダメージを和らげるための手段として自社株買いは有効だ。

実際、東京海上ホールディングスなど大手損害保険グループ3社は20日、今期(2025年3月期)に合計で1兆4750億円の政策保有株の売却方針を発表すると同時に、3社合計で4000億円超の自社株買いの実施も明らかにした。

東京海上Hなど損保3社、今期1.4兆円の政策株売却-還元強化へ