2050年のネットゼロ実現、世界で5000兆円超の追加支出必要-BNEF

AI要約

2050年までに温室効果ガスの排出量を正味ゼロにするには34兆ドルの追加支出が必要

ネットゼロを達成するためには支援が必要なセクターがあることが示唆されている

投資ペースの加速が必要であり、より大きな対策が求められている

(ブルームバーグ): 温室効果ガスの排出量を正味ゼロにする「ネットゼロ」を2050年までに達成するには、34兆ドル(約5310兆円)を政府や企業が追加支出する必要がある。ブルームバーグNEF(BNEF)が試算した。

1800万のデータ項目を分析した250ページに及ぶBNEFのリポートによると、ネットゼロ実現には基本シナリオで想定される支出に19%の増額が必要で、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー、送電網、二酸化炭素回収・貯留などのセクターに一段の支援が求められていることを示唆する。

米国と欧州で気候政策が政治的な火種となる中で、よりクリーンなエネルギーへの移行は近年抵抗に遭っている。同時に、金利上昇やインフレで再生可能プロジェクト開発業者の潜在的な投資リターンも低下した。

BNEFは今年初め、低炭素エネルギー移行に向けた昨年の全世界投資額は前年比17%増の1兆8000億ドルだったと報告した。だが今回のリポートは、投資ペースの加速が必要であることを示している。世界の温暖化は続き、より大きな対策が早急に求められている。

BNEFの経済・モデリング担当グローバルヘッドのデービッド・ホスタート氏は、目標実現に「近づいていることにはやや勇気づけられるが、同時にまだまだ遠い。一段の行動がなければ、多くの投資で十分な利益が出ない」と述べた。

BNEFは2つのシナリオについて分析を実施した。

ネットゼロ達成に向けては大きな変化が必要だとBNEFのリポートは指摘。2034年以降に販売される新車自動車を全てEVにすることなどを挙げた。炭素回収技術には6兆8000億ドル相当の投資が求められ、鉱工業だけでなく電力業界の炭素貯留も必要になるという。再生可能エネルギーの発電と同様、送電プロジェクトにも2040年代の10年間に年間約1兆ドルの投資が必要になると論じた。

原題:Is Net Zero by 2050 Still Possible? Yes, But It’ll Cost 19% More(抜粋)

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