後継機なくなっちゃった… 米特殊部隊用のヘリコプターが窮地に “ドローン優先”の強烈なとばっちり!?

AI要約

アメリカ軍の特殊部隊が使う攻撃強襲用ヘリ・MH-6「リトルバード」の運用が、2034年よりも延長される可能性がある。

MH-6は旧式化し2034年に新型機体に転換する予定だったが、FARAプロジェクトの中止により変更が検討されている。

USSOCOMはMH-6の現行運用継続を検討し、機体のアップグレードプログラムも計画されている。

後継機なくなっちゃった… 米特殊部隊用のヘリコプターが窮地に “ドローン優先”の強烈なとばっちり!?

 アメリカ軍の特殊部隊が使う攻撃強襲用ヘリ・MH-6「リトルバード」の運用が、本来予定されていた2034年よりも延長する可能性があるようです。2024年5月7日に行われたアメリカ特殊作戦部隊 (SOF) の全体会議「SOFウィーク」で明らかとなりました。

 MH-6は、OH-6の特殊部隊仕様機として1980年代に運用が始まりました。旧式化したため、本来は2034年から新型機体に転換する予定でした。

 しかし、アメリカ陸軍がAH-64「アパッチ」やOH-58D「カイオワ・ウォリア」などを置き換える目的で進めていた将来型攻撃偵察機(FARA:Future Attack Reconnaissance Aircraft)の開発が、ドローン開発を優先するという理由で2024年2月8日に中止に。その結果、FARAで採用された機体を新型強襲用ヘリのベース機として使用予定だった各特殊部隊にも多大な影響が出る形となりました。

 ほかに選択肢もないということで、アメリカの陸・海・空・海兵隊の特殊部隊を統合指揮しているアメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)は、ひとまずMH-6を使い続ける方針に変更したようです。

 それに伴いMH-6には、最大離陸重量2.2トン増や、アビオニクスの近代化など、いくつかのアップグレードプログラムも考えられているようです。

 また、同機は速度が遅く、他の機体と共同任務を取りにくいことが、新型機に転換する大きな要因のひとつともなっていました。それらの対応策として、ローターのハイブリッド化や電動化、ドライブトレインの改良といった計画があるようですが、どこまで実現可能なのかは明らかとなっていません。

 MH-6は1960年代から生産が開始されたOH-6をベースとしており、改良するにも限界があるようです。「SOFウィーク」でUSSOCOMのヘリコプター調達担当者であるスティーブン・スミス氏は、「国防予算に占める特殊作戦軍の予算の割合は微々たるものです。高度な能力を発揮する適切なテクノロジーへの投資には、皆さんの協力が必要です」と訴えました。

 なお、USSOCOMは、MH-6の機体寿命をあと15年ほどと見積もっているようです。それまでに後継機が見つからない場合は、新たな打開策をUSSOCOMで検討しなければなりません。