「金融庁と連携し、注視する」 坂本哲志農水相、農林中金1・2兆円増資報道に明言避ける

AI要約

坂本哲志農林水産相が、農林中央金庫の赤字転落と資本増強の検討についてコメントした。

農林中金は外債の運用で含み損を抱え、財務の健全性保つために資本増強が必要。

坂本氏は農林中金の役割や影響、金融市場の動向を注意深く見守る姿勢を示した。

「金融庁と連携し、注視する」 坂本哲志農水相、農林中金1・2兆円増資報道に明言避ける

坂本哲志農林水産相は21日の記者会見で、農林中央金庫が来年3月期の最終損益が5000億円規模の赤字に転落する恐れから、約1・2兆円の資本増強を検討しているとの報道を受け、「金融庁とも連携し、金融市場の動向などを踏まえつつ経営について十分注視していく」と述べた。

坂本氏は、「農林中金は農協などから預かった資金の運用収益を還元し、系統金融機関の経営基盤を強化する役割を担っている」と説明。農林中金が赤字になると、農協への配当がなくなるため各農協や組合員への影響も懸念されるが、坂本氏は「個別の民間金融機関の資本政策について農水省として答えることは差し控える」と明言を避けた。

農林中金は、企業向け融資などにも注力しているメガバンクと比べ、米国債など外債の運用の比重が大きい。金利が上昇すれば債券価格は下がるため、最近の金利上昇で外債の運用で多額の含み損を抱えることになり、来年3月期の最終損益で5000億円規模の赤字に連絡する見通し。運用収支の改善に向けて含み損を抱えた債券を処理し、巨額の資本増強で財務の健全性を保つ必要があると判断したもようだ。(西村利也)