「債券以外なら何でも」トレード、終了近い-ファンドが長期債シフト

AI要約

米国の大口債券投資家は、長期債に積極的に資金をシフトし、利下げ後に勝ち組になる可能性がある。

米ミューチュアルファンド運用会社がデュレーションを延長し、高格付けの社債に注目している。

米消費者物価指数の鈍化や利下げ観測の後退により、長期社債の魅力が高まっている。

(ブルームバーグ): 米国の大口債券投資家は、長期債に積極的に資金をシフトしており、いずれ利下げが実施された場合、人気のないこの資産クラスが勝ち組の一つになることに賭けている。

JPモルガン・チェースの調査によると、米大手ミューチュアルファンド運用会社20社は、利回り上昇に伴い、ここ2カ月にわたりデュレーションを延長している。JPモルガンのグローバルマーケットストラテジスト、ニコラオス・パニギリツオグル氏は、投資家が国債のネガティブキャリーを避けるために、高格付けの社債に「殺到」することでポジションを積み上げているとの見方を示した。

長期の社債は、米早期利下げ観測の後退を背景に市場から撤退した投資家を取り戻しつつある。4月の米消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアベースで、前月比の伸びが6カ月ぶりに鈍化した。これを受け、今や市場は年内2回の利下げを織り込んでおり、長期社債の魅力が戻っている。

アライアンス・バーンスタイン・ホールディングのガーション・ディステンフェルド氏は「米金融当局が実際に利下げを開始する3、4カ月前から利回りが大きく上昇することは、歴史でかなり一貫して示されている」と指摘。同氏は最近、自身が運用する230億ドル(約3兆5800億円)の「アメリカン・インカム・ポートフォリオ」のデュレーションを延長した。こうした事態は「今から1、2カ月後や6カ月後」に起こり得るし、2025年まで起こらない可能性もあるという。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらは、17日に発表したリポートで「債券以外なら何でもあり」のトレードは今や一巡した可能性があり、デュレーションの長い債券は24年後半には復活する見通しだと指摘した。

同行が実施した調査によると、ファンドマネジャーは今月に入り、債券への配分を4月から平均7ポイント引き上げた。ただ、全体的にはアンダーウエートを維持している。一方、現金の水準はここ約3年間で最低に落ち込んだ。