米FRB0.5%の大幅利下げ、日銀は更なる利上げへ、日米「真逆の金融政策」は可能か【播摩卓士の経済コラム】

AI要約

アメリカのFRBが政策金利を0.5%引き下げて、4.75〜5.00%に設定。4年半ぶりの利下げで、コロナ明けの経済活動再開やインフレ対策を行う

初回の利下げで市場をサプライズさせる0.5%幅の利下げを実施。ただし、今後の利下げは緩やかで、2025年までに1.5%の引き下げが予測されている

FRBは後れを取るつもりはなく、雇用リスクへの予防的対応として政策を転換。決定会合は年内に2回残されている

米FRB0.5%の大幅利下げ、日銀は更なる利上げへ、日米「真逆の金融政策」は可能か【播摩卓士の経済コラム】

アメリカの金融政策が、ついに「引き締め」から「緩和」に転換しました。中央銀行にあたるFRBは、18日、政策金利を通常の倍にあたる0.5%引き下げて、4.75~5.00%とすることを決定しました。アメリカの利下げは、コロナ禍の2020年以来4年半ぶりのことです。

■利下げ幅は0.5%と『倍速』に

FRBは、コロナ明けによる経済活動再開やウクライナ危機に伴うインフレに対処するため、2022年3月から、時に『3倍速』利上げも含めて、矢継ぎ早に金融引き締めを行いました。

23年7月に5.25~5.50%という高い水準まで政策金利を引き上げ、以降、1年余りを経て、ようやく政策転換に踏み切ったのです。

利下げ幅については、事前に市場では0.5%利下げを期待する声が高まっていたものの、エコノミストの間では、「政策変更初回は、0.25%が常道」との見方が強く、「倍速利下げ」は、ややサプライズでした。

いきなり大幅利下げだと、多くの人は「そんなに景気が悪いのか」と感じてしまうからです。

FRBのパウエル議長は記者会見で、「今後の利下げを急いでる状況ではない。0.5%利下げは、インフレ率2%に向かっているという我々の自信の表れだ」、「後れをとっているとは思っていない。決して後手に回らないという決意の表れだ」と述べ、雇用の下振れリスクに対する予防的対応であることを強調しました。

■今後の利下げペースは予想より緩やかに

利下げへの政策転換の初手が0.5%と大幅だった一方で、今後の利下げについては、市場予想より緩やかな見通しが明らかにされました。こちらも、ややサプライズでした。

今回改訂された経済見通しによれば、今年末の政策金利の水準は、メンバーによる中央値で、4.4%と、年内にあと0.5%引き下げるというものです。

2025年については、さらに1.0%引き下げるとの予測になっています。

FRBの決定会合は、年内あと2回です。