「プラダ」2025年春夏は究極のミックス&マッチ 「自分自身が己のヒーローであれ」

AI要約

「プラダ(PRADA)」が2025年春夏コレクション「INFINITE PRESENT」を発表。情報化社会の中で失われつつある人間の創造性をテーマに、トロンプルイユや異素材のミックスアンドマッチが施されたコレクション。

ランウェイやコーディネート、アクセサリーに違和感を持たせる手法を取り入れながら、1960年代のレトロと近未来的な要素を巧みに融合。自由なファッション表現を追求し、アルゴリズムからかけ離れた人間主導のファッションを象徴。

プラダの服は難解でありながらも見る者の心を動かす。知性と美学が融合された、見たことのない世界を提示することで高揚感を生み出す。

「プラダ」2025年春夏は究極のミックス&マッチ 「自分自身が己のヒーローであれ」

「プラダ(PRADA)」が9月19日(現地時間)に2025年春夏コレクションを発表した。タイトルは「INFINITE PRESENT」。直訳すれば「無限の現在」。ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)は、情報化社会で失われつつつある、人間が本来持つ創造性の無限の豊かさをこの言葉に込めた。

連発するトロンプルイユ

会場は3カ月前に発表するメンズコレクションと同じセットを組むのが通例だったが、今回は様相を変えた。メンズコレクションに登場した小屋や長い螺旋階段は見当たらず、うねるように配置されたベンチにターコイズブルーのファブリックが掛けられているのみ。

ただトロンプルイユの手法は継続した。パンツに通したベルト、ジャケットのファーカラー、ツイード生地、よく見ると全てがプリントだ。布の動きにもトリックを仕掛ける。メンズモデルがファーストルックで着用したシフォンドレスの肩ひもは、なびいているような動きをワイヤーで形作っている。シフォンドレスの揺れる裾も、たくし上げたシャツの袖口も時間が止まったように動かない。

観客が表面的に認識しようとする形やテクスチャーに違和感を持たせ、「あなたが見ている現実とは何か、本質とは何か」と力強く訴えかけてくる。あえて狭いランウエイにしたのも、観客がその違和感を解消するために夢中になって今目の前にあるリアルを観察する時間を作りたかったからなのかもしれない。

コーディネートでも違和感を出す。立体的なビーズ刺しゅうで飾った華やかなスカートの上は、カジュアルなロングスリーブトップ。フェザーのイブニングドレスには、ナイロンパーカを羽織る。フラワーのバンドゥーには、ユーロミリタリーベースの無骨なジャケットを合わせた。足元はアーカイブシューズを多数復刻した。

60年代×近未来のミックス&マッチ

全体的に1960年代のレトロなムードがある一方で、アクセサリーは近未来的だ。スーパーヒーローの仮面のような大きなサングラスは、「自分自身が己のヒーローであれ」という、個性を謳歌する思いが込められている。ミウッチャとラフは、素材も時代もテイストも全てを自由に掛け合わせ、アルゴリズムからかけ離れた人間主導のファッションのあり方は無限であることを証明する。

ショーが終わると、言葉にならない高揚感だけが残った。「プラダ」の服は難解にも関わらず、なぜ見るものの心を動かすのか。きっと、見たことのない世界を知性と美学で照らしてくれるからだと思った。